外壁コーキングは「打ち替え」と「増し打ち」どっち?【写真で劣化判定・費用相場2025】

  1. はじめに:あなたの家の外壁、こんな症状ありませんか?
  2. コーキング劣化サインの見分け方【写真で判定】
    1. 劣化レベル1:初期劣化(5〜7年経過)
    2. 劣化レベル2:中期劣化(7〜10年経過)
    3. 劣化レベル3:重度劣化(10年以上経過)
    4. 【重要】部位別の劣化速度の違い
  3. 打ち替えと増し打ちの違い【メリット・デメリット完全比較】
    1. 打ち替え工法の詳細解説
    2. 増し打ち工法の詳細解説
    3. 【専門家の判断基準】どちらを選ぶべきか
  4. 2025年最新版:費用相場と見積もりの内訳【適正価格を見極める】
    1. 打ち替え工事の費用相場
    2. 増し打ち工事の費用相場
    3. 【要注意】見積書の”罠”を見抜く7つのポイント
  5. DIYの限界と業者に頼むべき基準【失敗しないための判断軸】
    1. DIYで対応可能な範囲
    2. プロに依頼すべき明確な基準
    3. DIY失敗例と修正費用の実態
  6. 失敗例と対策【現場で見た”手抜き工事”の実態】
    1. 典型的な手抜き工事の手口
    2. 悪徳業者を見抜く7つのレッドフラグ
    3. トラブル回避のための契約前チェックリスト
  7. 相見積もりを取る際の重要ポイント
    1. 最低3社から見積もりを取るべき理由
    2. 相見積もりの正しい取り方
  8. 2025年最新:使える補助金・助成金情報
    1. 国の補助金制度
    2. 自治体の補助金例(東京都の場合)
    3. 補助金申請の注意点
  9. 施工の流れ:着工から完成まで【日数別詳細】
    1. 打ち替え工事のスケジュール例(30坪戸建て)
    2. 工事中の注意事項
  10. まとめ:あなたに最適な選択はどれ?【タイプ別診断】
    1. タイプ1:長期的な安心を重視する方
    2. タイプ2:コストを抑えたい方
    3. タイプ3:DIYに挑戦したい方
    4. タイプ4:売却・賃貸を考えている方
  11. よくある質問(Q&A)
  12. 最後に:失敗しない業者選びの極意

はじめに:あなたの家の外壁、こんな症状ありませんか?

「外壁の目地にひび割れが…」「コーキングが痩せて隙間ができている」「触ると粉が手につく」

このような症状を見つけて不安になっているあなたへ。外壁コーキングは家を雨水から守る最重要バリアです。適切な時期に正しい方法でメンテナンスしなければ、雨漏り・構造材の腐食・シロアリ被害といった深刻な問題につながります。

この記事を読むことで、あなたは以下のことが明確になります:

  • 自宅のコーキングが「打ち替え」と「増し打ち」どちらが必要か判断できる
  • 適正な費用相場を知り、ぼったくり業者を見抜ける
  • DIYでできる範囲と、プロに頼むべき基準が分かる
  • 失敗しない業者選びのチェックポイントを習得できる
  • 2025年最新の補助金・助成金情報を活用できる

私は一級建築士として20年以上、数千件の外壁修繕を手がけてきました。その経験から、「安いから」という理由だけで増し打ちを選んで3年後に全面打ち替えになった事例や、「DIYで節約」と思って失敗し、結局プロに頼んで2倍の費用がかかった事例を数多く見てきました。

そんな失敗を避け、あなたの大切な住まいを長く守るためのプロの視点での判断基準を、包み隠さずお伝えします。

コーキング劣化サインの見分け方【写真で判定】

劣化レベル1:初期劣化(5〜7年経過)

【症状】

  • 表面の艶がなくなり、マットな質感になる
  • 触ると白い粉が手につく(チョーキング現象)
  • 色褪せが始まる

【専門家の視点】 この段階では防水機能はまだ保たれていますが、劣化が始まっているサインです。増し打ちで対応可能な時期ですが、使用する材料の選定が重要になります。安価なシリコンコーキングを使うと、既存のコーキングとの相性が悪く、1〜2年で剥離する可能性があります。

劣化レベル2:中期劣化(7〜10年経過)

【症状】

  • ヘアクラック(髪の毛程度の細いひび割れ)が発生
  • コーキングが痩せて、目地の深さが浅くなる
  • 弾力性が低下し、硬くなっている

【専門家の視点】 この段階が**「増し打ち」か「打ち替え」かの分岐点**です。ヘアクラックが全体の30%未満なら増し打ちでも対応可能ですが、**建物の動きが大きい箇所(2階と1階の境目、出隅部分)**は打ち替えを推奨します。なぜなら、これらの箇所は建物の揺れや温度変化による伸縮が大きく、増し打ちでは追従できない可能性が高いからです。

劣化レベル3:重度劣化(10年以上経過)

【症状】

  • 深さ2mm以上の亀裂が複数箇所に発生
  • コーキングと外壁材の間に明確な隙間(剥離)
  • 指で押すとボロボロと崩れる
  • 雨の後、内壁にシミが出る

【専門家の視点】 この状態では打ち替え一択です。すでに防水機能が失われており、建物内部への雨水侵入リスクが高い状態です。国土交通省の「住宅の長寿命化促進事業」のガイドラインでも、**「コーキングの劣化度3以上は早急な打ち替えが必要」**と明記されています。

【重要】部位別の劣化速度の違い

実は、同じ建物でもコーキングの劣化速度は部位によって大きく異なります:

部位劣化速度理由推奨メンテナンス周期
南面・西面早い紫外線の影響が強い7〜8年
北面遅い紫外線が少ない10〜12年
サッシ周り早い温度差による伸縮が大きい5〜7年
出隅・入隅早い建物の動きが集中7〜8年
水切り部分非常に早い常に雨水にさらされる5〜6年

打ち替えと増し打ちの違い【メリット・デメリット完全比較】

打ち替え工法の詳細解説

【施工内容】 既存のコーキングを完全に除去し、新しいコーキング材を充填する工法です。

【施工手順】

  1. 既存コーキングの撤去(カッターで切り込み、手作業で除去)
  2. 目地底の清掃(ワイヤーブラシで汚れ・付着物を除去)
  3. バックアップ材の設置(目地の深さを調整)
  4. プライマー塗布(接着力を高める下地処理)
  5. 養生テープ貼り(周辺を汚さないため)
  6. 新規コーキング充填(専用ガンで均一に充填)
  7. ヘラで整形(表面を滑らかに仕上げ)
  8. 養生テープ撤去(半乾燥状態で剥がす)

【工期】

  • 戸建て住宅(延床面積30坪):3〜5日
  • 足場設置が必要な場合:プラス1〜2日

【メリット】

  • 耐久性が高い(10〜15年の寿命)
  • 防水性能が新築時と同等レベルまで回復
  • 下地の状態を確認できる(腐食や劣化の早期発見)
  • 材料の選択肢が広い(変成シリコン、ポリウレタン、MS系など)

【デメリット】

  • 費用が高い(増し打ちの2〜3倍)
  • 工期が長い(天候に左右される)
  • 騒音・振動が発生(撤去作業時)
  • 職人の技術差が出やすい(撤去の丁寧さで仕上がりが変わる)

増し打ち工法の詳細解説

【施工内容】 既存のコーキングの上から新しいコーキング材を充填する工法です。

【施工手順】

  1. 既存コーキングの清掃(高圧洗浄またはブラシ清掃)
  2. プライマー塗布(既存コーキングとの密着性向上)
  3. 養生テープ貼り
  4. 新規コーキング充填(既存の上に重ねて充填)
  5. ヘラで整形
  6. 養生テープ撤去

【工期】

  • 戸建て住宅(延床面積30坪):1〜2日

【メリット】

  • 費用が安い(打ち替えの30〜50%)
  • 工期が短い(最短1日で完了)
  • 騒音・振動が少ない
  • 廃材が出ない(環境負荷が低い)

【デメリット】

  • 耐久性が低い(5〜7年程度)
  • 下地の状態が確認できない(隠れた劣化を見逃すリスク)
  • 既存コーキングとの相性問題(剥離・ひび割れのリスク)
  • 厚みが出る(見た目が悪くなる場合がある)

【専門家の判断基準】どちらを選ぶべきか

私が現場で使用している判断フローチャートをご紹介します:

打ち替えを選ぶべきケース:

  • 築10年以上経過している
  • コーキングの劣化レベルが3以上
  • 雨漏りの兆候がある
  • 外壁塗装と同時施工する(足場代の節約)
  • 長期的なコストパフォーマンスを重視する
  • 売却予定がある(資産価値の維持)

増し打ちでも対応可能なケース:

  • 築7年未満
  • 部分的な劣化のみ(全体の20%未満)
  • 予算が限られている
  • 応急処置として(2〜3年後に大規模修繕予定)
  • 賃貸物件の最低限のメンテナンス

2025年最新版:費用相場と見積もりの内訳【適正価格を見極める】

打ち替え工事の費用相場

【基本料金】

項目単価30坪住宅の目安備考
コーキング撤去500〜800円/m6〜10万円手作業の丁寧さで差が出る
新規コーキング充填900〜1,500円/m11〜18万円材料グレードによる
足場設置700〜1,000円/㎡15〜20万円2階建ての場合必須
高圧洗浄150〜300円/㎡2〜4万円下地処理の重要工程
養生費300〜500円/㎡3〜5万円近隣への配慮費用
廃材処分費2〜3万円/一式2〜3万円産業廃棄物として処理
諸経費工事費の10〜15%4〜7万円管理費・保険料など

【総額目安】

  • 30坪戸建て:45〜70万円
  • 40坪戸建て:60〜95万円
  • 50坪戸建て:75〜120万円

増し打ち工事の費用相場

【基本料金】

項目単価30坪住宅の目安備考
既存コーキング清掃200〜300円/m2.5〜4万円高圧洗浄または手作業
増し打ちコーキング700〜1,200円/m8.5〜15万円材料費込み
足場設置700〜1,000円/㎡15〜20万円低層部のみなら不要な場合も
養生費200〜400円/㎡2〜4万円簡易養生で対応可能
諸経費工事費の8〜12%2〜5万円打ち替えより少なめ

【総額目安】

  • 30坪戸建て:30〜48万円
  • 40坪戸建て:40〜64万円
  • 50坪戸建て:50〜80万円

【要注意】見積書の”罠”を見抜く7つのポイント

1. 「一式」表記の危険性

悪い例:コーキング工事一式 300,000円
良い例:コーキング打ち替え 125m×1,200円=150,000円

【専門家の視点】 「一式」表記は追加請求の温床です。必ず「単価×数量」の明細を要求しましょう。

2. 不自然な値引きの裏側 「今なら50%OFF!」「モニター価格で70%OFF!」といった大幅値引きは、元々の価格を水増ししている可能性大です。建設業法では、原価を下回る受注は禁止されており、50%以上の値引きは物理的に不可能です。

3. 材料グレードの明記がない 見積書に「シリコンコーキング使用」とだけ書かれている場合、**最安値の1液型シリコン(耐久5年)の可能性があります。必ず「変成シリコン2液型」「ポリウレタン系」**など、具体的な材料名とメーカー名を確認しましょう。

4. 足場代の相場逸脱 足場代が異常に安い(500円/㎡以下)場合、安全対策が不十分な可能性があります。逆に1,500円/㎡を超える場合はぼったくりの疑いがあります。

5. 保証内容の曖昧さ 「10年保証」と謳っていても、**「材料の劣化のみ」「施工不良は1年まで」**といった制限がある場合があります。保証書のサンプルを事前に確認しましょう。

6. 追加工事の可能性を明記していない 下地の腐食など、開けてみないと分からない劣化は必ず存在します。誠実な業者は「下地補修が必要な場合:○○円/㎡」と事前に明記します。

7. 工程表の提出を渋る 詳細な工程表の提出を渋る業者は、手抜き工事のリスクがあります。特に「乾燥時間」が明記されているか確認しましょう。

DIYの限界と業者に頼むべき基準【失敗しないための判断軸】

DIYで対応可能な範囲

【条件】

  • 1階部分のみ(脚立で届く範囲)
  • 部分補修(全体の10%未満)
  • 劣化レベル1〜2の初期段階
  • 時間的余裕がある(最低でも3日間)

【必要な道具と材料費】

道具・材料価格用途
コーキングガン2,000〜5,000円充填用
カッター1,000円既存コーキング除去
ヘラ500円整形用
養生テープ500円マスキング
プライマー2,000円下地処理
コーキング材1,500円/本1本で約5m施工可能
合計約10,000〜15,000円10m程度の施工

【専門家の視点】 DIYで最も失敗しやすいのは**「三面接着」です。コーキングは両側の2面だけに接着**させ、底面には接着させないのが鉄則ですが、素人施工では底面にも接着してしまい、1年以内にひび割れるケースが多発しています。

プロに依頼すべき明確な基準

【絶対にプロに依頼すべきケース】

  1. 2階以上の高所作業
    • 転落事故のリスク(年間約300件の死亡事故)
    • 労働安全衛生法で2m以上は「高所作業」と定義
  2. 構造上重要な部位
    • バルコニーの立ち上がり部分
    • 屋根と外壁の取り合い部分
    • 基礎と外壁の境目
  3. 雨漏りの兆候がある
    • 内壁のシミ、カビ
    • 押入れの湿気
    • 天井の変色
  4. 築15年以上で一度もメンテナンスしていない
    • 下地の劣化が進行している可能性大
    • 総合的な診断が必要

DIY失敗例と修正費用の実態

【失敗例1:材料選定ミス】 ホームセンターで最安値のシリコンコーキングを購入し施工。6ヶ月後に全面剥離

  • DIY費用:15,000円
  • 修正費用:80,000円(プロによる全面打ち替え)
  • 損失:65,000円+時間と労力

【失敗例2:下地処理不足】 既存コーキングの上から直接増し打ち。3ヶ月で新旧の境目から剥離

  • DIY費用:8,000円
  • 修正費用:50,000円(部分打ち替え)
  • 損失:42,000円

【失敗例3:養生不足】 養生テープを適当に貼り、外壁を汚染。外壁の部分塗装が必要に。

  • DIY費用:10,000円
  • 修正費用:120,000円(汚染部分の塗装)
  • 損失:110,000円

失敗例と対策【現場で見た”手抜き工事”の実態】

典型的な手抜き工事の手口

1. プライマー塗布の省略 【手口】 見た目では分からないため、プライマー(接着剤)を塗らずにコーキングを充填。 【結果】 1〜2年で剥離が始まり、防水機能を失う。 【対策】 施工中の写真撮影を要求。プライマーの缶を確認。

2. 充填量をごまかす「肉やせ工法」 【手口】 表面だけ厚く見せかけ、内部は薄く充填。 【結果】 3年程度で亀裂が発生。 【対策】 施工前に目地の深さを一緒に測定。充填量(本数)を明確にする。

3. 乾燥時間を守らない「時短施工」 【手口】 本来24時間必要な乾燥時間を2〜3時間で切り上げる。 【結果】 内部が未硬化のまま表面だけ固まり、すぐにひび割れる。 【対策】 工程表で各工程の時間を明記してもらう。

4. 材料のすり替え 【手口】 見積書では高級材料、実際は安価な材料を使用。 【結果】 期待した耐久年数の半分で劣化。 【対策】 納品書と材料の現物を確認。製造番号を記録。

悪徳業者を見抜く7つのレッドフラグ

  1. 「今すぐ契約なら半額」という即決営業
  2. 訪問販売で不安を煽る(「このままだと家が倒壊する」等)
  3. 建設業許可番号を教えない
  4. 施工実績の写真を見せられない
  5. 口約束で契約書を作らない
  6. 前金100%を要求
  7. クーリングオフの説明をしない

トラブル回避のための契約前チェックリスト

【必須確認事項】

  • [ ] 建設業許可証の確認(都道府県知事許可または国土交通大臣許可)
  • [ ] 施工賠償責任保険の加入確認
  • [ ] 過去3年間の施工実績(写真付き)
  • [ ] 見積書の詳細明細(単価×数量)
  • [ ] 保証書のサンプル確認
  • [ ] 工程表の提出
  • [ ] 支払い条件(着工前30%、完工後70%が理想)
  • [ ] クーリングオフの説明書面

【推奨確認事項】

  • [ ] 一級建築施工管理技士等の有資格者在籍
  • [ ] リフォーム瑕疵保険への加入
  • [ ] 同じ地域での施工実績(見学可能なら尚良)
  • [ ] アフターメンテナンスの体制
  • [ ] 緊急時の連絡体制

相見積もりを取る際の重要ポイント

最低3社から見積もりを取るべき理由

1. 価格の妥当性が分かる 1社だけでは高いか安いか判断できません。3社取ることで、中央値が適正価格と判断できます。

2. 工法の違いが明確になる A社「全面打ち替え推奨」、B社「部分打ち替えで十分」、C社「増し打ちで対応可能」など、診断結果にばらつきが出ます。多数決ではなく、根拠を明確に説明できる業者を選びましょう。

3. 営業姿勢が見える 即決を迫る業者、じっくり検討を促す業者、アフターフォローを強調する業者など、会社の体質が見えてきます。

相見積もりの正しい取り方

【統一条件の設定】

  • 同じ工法(打ち替えor増し打ち)で依頼
  • 同じグレードの材料を指定
  • 同じ施工範囲を明確化
  • 工期の希望を統一

【質問すべき5つのポイント】

  1. 「なぜその工法を推奨するのか、理由を教えてください」
  2. 「下地に問題があった場合の追加費用は?」
  3. 「施工後のアフターフォローの内容は?」
  4. 「同じような築年数の施工実績を見せてください」
  5. 「工事中の近隣対策はどうしますか?」

2025年最新:使える補助金・助成金情報

国の補助金制度

【住宅省エネ2025キャンペーン】

  • 対象:断熱材を含む外壁リフォーム
  • 補助率:工事費の1/3(上限100万円)
  • 条件:コーキング打ち替えと同時に断熱改修を行う
  • 申請期限:2025年12月31日

【長期優良住宅化リフォーム推進事業】

  • 対象:築20年以上の住宅
  • 補助率:工事費の1/3(上限200万円)
  • 条件:インスペクション実施、工事後の性能向上
  • 申請期限:2026年3月31日

自治体の補助金例(東京都の場合)

【東京都既存住宅省エネ改修促進事業】

  • 補助額:工事費の1/6(上限30万円)
  • 条件:都内の住宅、省エネ基準適合
  • コーキング工事も対象内

【区市町村の独自補助】

  • 世田谷区:工事費の10%(上限20万円)
  • 杉並区:工事費の1/2(上限30万円)
  • 江戸川区:工事費の1/3(上限25万円)

補助金申請の注意点

【専門家の視点】 補助金は着工前の申請が必須です。工事開始後の申請は認められません。また、必ず交付決定通知を受けてから着工する必要があります。焦って着工すると補助金がもらえなくなるため、余裕を持ったスケジュール設定が重要です。

施工の流れ:着工から完成まで【日数別詳細】

打ち替え工事のスケジュール例(30坪戸建て)

【1日目:準備工程】

  • 8:00 近隣挨拶(騒音のお詫びと工程説明)
  • 9:00 足場設置開始
  • 15:00 養生シート設置
  • 16:00 安全確認

【2日目:撤去工程】

  • 9:00 既存コーキング撤去開始
  • 12:00 撤去完了・清掃
  • 13:00 下地状態の確認(施主立会い推奨)
  • 14:00 下地補修(必要な場合)
  • 16:00 プライマー塗布

【3日目:充填工程】

  • 9:00 バックアップ材設置
  • 10:00 マスキングテープ養生
  • 11:00 コーキング充填開始
  • 15:00 充填完了・ヘラ仕上げ
  • 16:00 養生テープ除去

【4日目:仕上げ工程】

  • 9:00 仕上がり確認
  • 10:00 補修作業(必要箇所)
  • 14:00 清掃
  • 15:00 施主検査
  • 16:00 足場解体

工事中の注意事項

【在宅の必要性】

  • 初日の立会い:必須(工事範囲の最終確認)
  • 2〜3日目:不要(ただし、緊急連絡は取れる状態に)
  • 最終日の立会い:必須(完成検査)

【生活への影響】

  • 窓の開閉:工事箇所は開閉不可(1〜2日)
  • 洗濯物:外干し不可(粉塵対策)
  • 駐車場:足場設置で使用制限の可能性
  • 騒音:撤去作業時は掃除機程度の音

【職人さんへの対応】

  • お茶出し:不要(最近は断る業者が多い)
  • トイレ:基本的に貸す必要なし(業者が簡易トイレ設置)
  • 差し入れ:気持ち程度なら喜ばれるが必須ではない

まとめ:あなたに最適な選択はどれ?【タイプ別診断】

タイプ1:長期的な安心を重視する方

【推奨】全面打ち替え

  • 築10年以上なら迷わず打ち替え
  • 初期費用は高いが、15年は安心
  • 資産価値の維持にも効果的

【おすすめ業者の特徴】

  • 地元で20年以上の実績
  • 一級建築施工管理技士が在籍
  • 10年以上の長期保証

タイプ2:コストを抑えたい方

【推奨】部分打ち替え+部分増し打ちの併用

  • 劣化の激しい南面・西面は打ち替え
  • 北面は増し打ちで対応
  • トータルコストを30%削減可能

【おすすめ業者の特徴】

  • 柔軟な提案力がある
  • 部位別の劣化診断が詳細
  • 分割払いに対応

タイプ3:DIYに挑戦したい方

【推奨】1階部分のみDIY+2階はプロ

  • 安全性を確保しつつコスト削減
  • 失敗してもリカバリー可能な範囲
  • プロの仕事を間近で学べる

【必要な準備】

  • 最低3日間の時間確保
  • 天気予報の入念なチェック
  • 材料は良いものを選ぶ(ケチらない)

タイプ4:売却・賃貸を考えている方

【推奨】外壁塗装と同時の全面打ち替え

  • 見た目の印象が大幅に向上
  • 査定額が平均50〜100万円アップ
  • 「メンテナンス済み」のアピールポイント

よくある質問(Q&A)

Q1. コーキングの打ち替えは何年ごとが理想? A. 環境により異なりますが、10〜12年が目安です。ただし、5年ごとの点検を行い、劣化の進行を確認することが理想的です。住宅金融支援機構の「マイホーム維持管理ガイドライン」でも、10年での打ち替えが推奨されています。

Q2. 火災保険は使えますか? A. 台風や強風による損傷であれば適用される可能性があります。ただし、経年劣化は対象外です。申請には「罹災証明書」と「修理見積書」が必要で、保険会社の現地調査が入ることもあります。

Q3. 雨の日でも工事はできる? A. 絶対にできません。コーキングは完全乾燥が必要で、湿度80%以上でも施工不可です。優良業者は天候による工期延長を事前に説明し、無理な施工はしません。

Q4. コーキングの色は選べる? A. 主要メーカーで30色以上から選択可能です。外壁の色に合わせるのが基本ですが、あえてアクセントカラーにする選択肢もあります。ただし、白系は汚れが目立ちやすいので注意が必要です。

Q5. 部分的な補修だけでも頼める? A. 可能ですが、**最小受注金額(3〜5万円)**を設定している業者が多いです。また、足場が必要な場所だと、部分補修でも足場代がかかるため、結果的に全面施工した方が割安になることがあります。

Q6. 工事後のメンテナンスは必要? A. 年1回の目視点検と、3年に1度の専門業者による点検が理想です。特に台風後は、飛来物による損傷がないか確認しましょう。早期発見・早期対処が、住宅の長寿命化につながります。

Q7. マンションの場合はどうすれば? A. マンションは共用部分にあたるため、個人での工事は不可です。管理組合を通じて大規模修繕の一環として行われます。ただし、専有部分のバルコニー側のサッシ周りは、管理規約により異なるので確認が必要です。

最後に:失敗しない業者選びの極意

20年以上この業界に携わってきた私から、最後にお伝えしたいことがあります。

「安さ」だけで選ぶと、必ず後悔します。

適正価格で、確かな技術を持ち、アフターフォローもしっかりしている業者を選ぶことが、結果的に最もコストパフォーマンスが高くなります。

良い業者の見極め方は簡単です:

  • 現地調査に1時間以上かける(10分で終わる業者は論外)
  • デメリットも正直に話す(メリットしか言わない業者は危険)
  • 質問に対して専門用語を使わずに分かりやすく説明する
  • 契約を急かさない(「じっくり検討してください」と言える余裕)
  • 施工後の写真付き実績を30件以上見せられる

あなたの大切な住まいを守るコーキング工事。この記事の情報を活用して、最適な選択をしてください。

そして忘れないでください。家は手入れをした分だけ、必ず応えてくれます。

適切なメンテナンスで、あなたとご家族が安心して暮らせる住まいを、これからも大切に守っていってください。


【執筆者情報】 一級建築士・一級建築施工管理技士 外壁診断士・雨漏り診断士 リフォーム工事実績:3,000件以上 執筆日:2025年8月