「外壁塗装をしたいけれど、手元にまとまったお金がない…」そんな不安を抱えている方は決して少なくありません。外壁塗装には100万円を超える費用がかかることも多く、一括での支払いが難しいのは当然のことです。
結論から申し上げると、外壁塗装でもローンを組むことは可能です。
しかし、この業界は残念ながら悪徳業者や品質の低い業者が多いのも事実です。適正な業者選びとローン選択を間違えると、後々大きな負担となってしまう可能性があります。
そこで本記事では、外壁塗装業界で15年以上の経験を持つ編集部が、実際のお客様とのやり取りで得た知見をもとに、外壁塗装のローンについて安心してご利用いただける情報をお伝えします。
なぜ外壁塗装にローンが必要なのか?
外壁塗装の費用相場と家計への影響
外壁塗装の費用は決して安くありません。一般的な戸建て住宅(延床面積30坪程度)の場合、以下のような費用がかかります。
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
外壁塗装のみ | 80万円~120万円 |
屋根塗装込み | 120万円~180万円 |
付帯工事込み(雨樋・破風板等) | 150万円~200万円 |
大規模補修が必要な場合 | 200万円~300万円 |
これだけの金額を一度に支払うのは、多くのご家庭にとって大きな負担となります。
外壁塗装を後回しにするリスク
外壁塗装は「いつかやればいい」工事ではありません。適切な時期を逃すと、以下のような深刻な問題が発生する可能性があります。
建物への影響
- 外壁材の劣化が進行し、補修費用が倍増
- 雨漏りによる構造材の腐食
- カビやシロアリの発生
- 建物の資産価値の大幅な低下
経済的な影響
- 小規模な補修で済んだものが大規模工事に
- 内装の張り替えや構造補強が必要になる
- 最悪の場合、建て替えが必要になることも
実際に編集部で取材したお客様の中には、「あと1年待とう」と先延ばしにした結果、工事費用が当初の150万円から300万円に膨らんでしまったケースもありました。
外壁塗装で利用できるローンの種類
外壁塗装では主に以下の3つのローンが利用できます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1. リフォームローン(無担保型)
メリット
- 手続きが比較的簡単
- 審査期間が短い(1週間程度)
- 担保や保証人が不要
デメリット
- 金利が高め(2.0%~5.0%程度)
- 借入限度額が低い(500万円~1,000万円)
- 返済期間が短い(10年~15年)
向いている人
- 手続きを簡単に済ませたい方
- 工事費用が500万円以下の方
- 短期間で返済したい方
2. リフォームローン(有担保型)
メリット
- 金利が低い(0.5%~2.5%程度)
- 借入限度額が高い(1,000万円~5,000万円)
- 返済期間が長い(最大35年)
デメリット
- 審査期間が長い(1ヶ月程度)
- 手続きが複雑
- 担保設定費用がかかる
- 返済不能時に住宅を失うリスク
向いている人
- 大規模なリフォームを予定している方
- 月々の返済額を抑えたい方
- 長期間での返済を希望する方
3. 住宅ローンの増額・借り換え
メリット
- 最も低金利(0.3%~1.5%程度)
- 審査が通りやすい(既存顧客のため)
- 手続きが比較的簡単
デメリット
- 既存の住宅ローンがあることが条件
- 増額できる金額に限度がある
- 借り換えの場合、手数料がかかる
向いている人
- 現在住宅ローンを返済中の方
- 既存ローンの金利が高い方
- 金融機関との取引実績がある方
金融機関別ローン金利比較(2025年最新)
実際にローンを選ぶ際の参考として、主要金融機関のリフォームローン金利をまとめました。
金融機関 | 無担保型金利 | 有担保型金利 | 最大借入額 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
三井住友銀行 | 年2.125% | 年0.5%~ | 800万円 | WEB申込可、住宅ローン利用者優遇あり |
三菱UFJ銀行 | 年1.99%~2.875% | 年0.6%~ | 1,000万円 | ネット申込で金利優遇 |
みずほ銀行 | 年2.0%~4.5% | 年0.625%~ | 500万円 | 取引状況により金利引下げ |
りそな銀行 | 年2.475%~4.475% | 年0.7%~ | 1,500万円 | パート・アルバイトも申込可 |
地方銀行平均 | 年1.8%~5.0% | 年0.9%~ | 300万円~ | 地域密着型サービス |
信販会社平均 | 年3.0%~10.0% | – | 300万円~ | 審査が早い、手続き簡単 |
*2025年7月時点の情報。金利は審査により決定されます。
編集部おすすめの選び方
低金利重視の方 住宅ローンの借り換え → 有担保リフォームローン → 無担保リフォームローンの順で検討
手続きの簡単さ重視の方 信販会社 → 無担保リフォームローン → 有担保リフォームローンの順で検討
既存住宅ローンがある方 まず同じ金融機関に相談し、条件を比較してから他行を検討
ローンの審査基準と通りやすくするコツ
主な審査項目
リフォームローンの審査では、以下の項目が重視されます。
審査項目 | 重要度 | チェックポイント |
---|---|---|
年収 | ★★★ | 安定した収入があるか |
勤続年数 | ★★★ | 継続した雇用が見込めるか |
年齢 | ★★☆ | 完済時年齢が80歳以下か |
既存借入 | ★★★ | 返済比率が適正範囲内か |
信用情報 | ★★★ | 延滞履歴がないか |
工事内容 | ★★☆ | 適正な工事内容か |
審査に通りやすくする5つのコツ
1. 返済比率を35%以下に抑える 年収に対する全借入の年間返済額の割合を35%以下に抑えることが重要です。
例:年収400万円の場合、年間返済額は140万円以下(月約12万円以下)が目安
2. 勤続年数は最低1年以上 転職直後の申込みは避け、できれば勤続3年以上で申し込みましょう。
3. 信用情報をクリーンにする クレジットカードや携帯電話料金の延滞がないよう注意し、申込み前に不要なカードローンは完済しておきましょう。
4. 複数の金融機関に同時申込みしない 短期間に複数の申込みをすると「申込みブラック」状態になる可能性があります。
5. 必要書類を完璧に準備する 不備があると審査が長引いたり、印象が悪くなったりします。
審査に必要な書類チェックリスト
本人確認書類
- □ 運転免許証または健康保険証
- □ 住民票(発行から3ヶ月以内)
収入証明書類
- □ 源泉徴収票(直近1年分)
- □ 確定申告書(自営業の場合は直近3年分)
- □ 住民税決定通知書
工事関連書類
- □ 工事請負契約書
- □ 工事見積書
- □ 工事着工前の写真
その他
- □ 既存借入の返済予定表
- □ 印鑑証明書(有担保ローンの場合)
月々の返済額シミュレーション
実際にローンを組んだ場合の返済額を具体的にシミュレーションしてみましょう。
ケース1:100万円を借入した場合
返済期間 | 金利2.5% | 金利5.0% | 金利7.0% |
---|---|---|---|
5年 | 月17,747円<br>(総額106.5万円) | 月18,871円<br>(総額113.2万円) | 月19,801円<br>(総額118.8万円) |
7年 | 月13,012円<br>(総額109.3万円) | 月14,134円<br>(総額118.7万円) | 月15,258円<br>(総額128.2万円) |
10年 | 月9,427円<br>(総額113.1万円) | 月10,607円<br>(総額127.3万円) | 月11,611円<br>(総額139.3万円) |
ケース2:150万円を借入した場合
返済期間 | 金利2.5% | 金利5.0% | 金利7.0% |
---|---|---|---|
5年 | 月26,620円<br>(総額159.7万円) | 月28,307円<br>(総額169.8万円) | 月29,702円<br>(総額178.2万円) |
7年 | 月19,518円<br>(総額164.0万円) | 月21,201円<br>(総額178.1万円) | 月22,887円<br>(総額192.3万円) |
10年 | 月14,140円<br>(総額169.7万円) | 月15,910円<br>(総額190.9万円) | 月17,417円<br>(総額209.0万円) |
返済期間選択の考え方
短期返済(5年以下)がおすすめの方
- 月々の返済能力に余裕がある
- 金利負担を最小限に抑えたい
- 早く借金を完済したい
中期返済(7~10年)がおすすめの方
- 月々の返済額と総返済額のバランスを取りたい
- 家計に無理のない範囲で返済したい
- 他の支出も考慮したい
長期返済(10年超)がおすすめの方
- 月々の返済額を最小限に抑えたい
- 将来的な収入増加が見込める
- 他にも大きな支出予定がある
住宅ローン減税の活用方法
外壁塗装でローンを組む際は、住宅ローン減税の適用も検討しましょう。これにより、実質的な負担を大幅に軽減できます。
住宅ローン減税の概要
項目 | 内容 |
---|---|
控除率 | 年末ローン残高の0.7% |
控除期間 | 最大10年間 |
借入限度額 | 2,000万円 |
年間控除上限 | 14万円 |
総控除上限 | 140万円 |
適用条件
基本要件
- 工事費用が100万円以上
- 返済期間が10年以上
- 工事後の床面積が50㎡以上
- 年間所得が2,000万円以下
対象工事
- 増築・改築・大規模修繕
- 省エネ改修工事
- バリアフリー改修工事
- 耐震改修工事
減税効果の実例
例:150万円を10年ローンで借入(金利2.5%)の場合
年度 | ローン残高 | 控除額 | 実質月返済額 |
---|---|---|---|
1年目 | 150万円 | 10,500円 | 13,265円 |
2年目 | 132万円 | 9,240円 | 13,370円 |
3年目 | 114万円 | 7,980円 | 13,475円 |
… | … | … | … |
10年目 | 14万円 | 980円 | 14,059円 |
10年間の総控除額:約63万円
この場合、実質的な金利負担を大幅に軽減できます。
減税を受けるための手続き
必要書類
- 増改築等工事証明書
- 工事請負契約書
- 住宅ローンの年末残高証明書
- 住民票
手続きの流れ
- 工事完了後に増改築等工事証明書を取得
- 翌年の確定申告で控除申請
- 2年目以降は年末調整で手続き完了
信頼できる業者選びのポイント
ローンを組んで外壁塗装を行う際は、業者選びが特に重要です。編集部が実際に調査した結果をもとに、信頼できる業者の見分け方をお伝えします。
優良業者の特徴
資格・許可の確認
- 建設業許可証の掲示
- 塗装技能士などの国家資格保有
- 業界団体への加盟状況
見積もりの透明性
- 工程ごとの詳細な内訳
- 使用材料の明確な記載
- 追加工事の可能性についての説明
施工実績と評判
- 地域での施工実績が豊富
- 実際の施工写真の提示
- 過去のお客様からの評価
アフターサービス
- 保証内容の明示
- 定期点検の実施
- トラブル時の対応体制
避けるべき業者の特徴
価格面での注意点
- 極端に安い見積もり
- 大幅な値引きをアピール
- 契約を急かす営業手法
対応面での問題
- 飛び込み営業のみで実態が不明
- 見積もりの根拠が不明確
- 質問に対する回答が曖昧
契約面でのリスク
- 前払い金の要求が高額
- 契約書の内容が不十分
- キャンセル条件が厳しすぎる
編集部が実際に体験した悪徳業者の手口
ケース1:見積もり詐欺 初回見積もりは80万円だったが、工事中に「予想以上の劣化が見つかった」として追加工事を要求し、最終的に200万円を請求された事例。
ケース2:ローン手数料詐欺 業者が「特別なローンを紹介する」として、実際には高金利のローンを組ませ、紹介手数料を上乗せしていた事例。
対策:複数見積もりと第三者チェック 必ず3社以上から見積もりを取り、可能であれば建築に詳しい第三者に相談することが重要です。
ローン以外の支払い方法との比較
ローン以外にも外壁塗装の支払い方法があります。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
支払い方法別比較表
支払い方法 | 初期負担 | 総費用 | 手続き | リスク | おすすめ度 |
---|---|---|---|---|---|
現金一括 | 大 | 最小 | 簡単 | 低 | ★★★ |
リフォームローン | 小 | 中 | 普通 | 中 | ★★★ |
クレジットカード | 小 | 大 | 簡単 | 高 | ★☆☆ |
業者の分割払い | 小 | 中 | 簡単 | 中 | ★★☆ |
現金一括払い
メリット
- 金利負担がない
- 手続きが簡単
- 業者との交渉がしやすい
デメリット
- 一度に大きな出費
- 緊急時の資金が不足する可能性
- 投資機会を逃す可能性
向いている人
- 十分な貯蓄がある
- 金利負担を避けたい
- シンプルな支払いを希望
クレジットカード分割払い
メリット
- 手続きが簡単
- ポイントが貯まる
- 支払い時期を調整できる
デメリット
- 金利が高い(10%~15%)
- 利用限度額の制限
- 業者が対応していない場合が多い
注意点 クレジットカード払いは手軽ですが、金利が高く、長期分割には向きません。
業者の分割払い(自社ローン)
メリット
- 審査が緩い
- 手続きが簡単
- 金利が低い場合がある
デメリット
- 業者が倒産するリスク
- 途中解約が困難
- 工事品質に問題があっても支払い義務が残る
注意点 業者の自社ローンは便利ですが、業者の信頼性を十分に確認することが重要です。
実際の利用者の体験談
編集部が取材した実際のローン利用者の体験談をご紹介します。
成功事例:Aさん(40代・会社員)
工事内容: 外壁・屋根塗装 費用: 180万円 ローン: 銀行リフォームローン(金利2.3%、10年)
「当初は貯金で支払う予定でしたが、子供の教育費も考えてローンを選択しました。月々の返済は約17,000円で家計への負担も少なく、住宅ローン減税も受けられて実質的な負担はさらに軽減されました。何より、劣化が進む前に工事ができて安心です。」
成功事例:Bさん(50代・自営業)
工事内容: 外壁塗装+防水工事 費用: 120万円 ローン: 信販会社ローン(金利4.5%、7年)
「自営業のため銀行の審査に不安がありましたが、信販会社のローンは迅速に審査が通りました。金利は少し高めですが、雨漏りが始まっていたので早急に工事できて良かったです。業者さんが手続きをサポートしてくれて助かりました。」
失敗事例:Cさん(30代・会社員)
工事内容: 外壁塗装 費用: 当初80万円 → 最終150万円 支払い: 業者の分割払い
「安さに惹かれて選んだ業者でしたが、工事中に次々と追加工事を要求され、最終的に予算の倍近くになってしまいました。業者の分割払いだったため、工事に問題があっても支払いを止められず、後悔しています。複数見積もりを取るべきでした。」
体験談から学ぶ教訓
- 事前の資金計画が重要
- 複数の選択肢を比較検討する
- 業者選びは慎重に行う
- 契約内容を十分に確認する
- 第三者の意見も参考にする
よくある質問と回答
Q1: 住宅ローンが残っていてもリフォームローンは組めますか?
A: はい、組めます。ただし、既存の借入と合わせて返済比率(年収に対する年間返済額の割合)が35%以下になるよう注意が必要です。むしろ住宅ローンを利用している同じ金融機関に相談すると、金利優遇を受けられる場合があります。
Q2: パートやアルバイトでも審査に通りますか?
A: 継続した収入があれば可能です。ただし、以下の点にご注意ください。
- 勤続年数は最低1年以上
- 年収に見合った借入金額に抑える
- 配偶者の収入を合算できる場合もある
Q3: 工事中にローンの実行はいつになりますか?
A: 金融機関により異なりますが、一般的には以下のタイミングです。
- 着工前:契約後に一括実行
- 工事中:工程に応じて分割実行
- 完工後:工事完了確認後に実行
事前に業者と金融機関で支払いタイミングを調整することが重要です。
Q4: 審査に落ちた場合はどうすればいいですか?
A: 以下の方法を検討してください。
- 他の金融機関に申し込む
- 借入金額を減額する
- 返済期間を短縮する
- 連帯保証人を付ける
- 頭金を増やす
ただし、短期間に複数の申込みをするのは避けましょう。
Q5: 繰上返済はできますか?
A: ほとんどのローンで可能ですが、手数料がかかる場合があります。
- 一部繰上返済:手数料5,500円~33,000円程度
- 全額繰上返済:手数料33,000円~55,000円程度
余裕資金ができた場合は、繰上返済で利息負担を軽減できます。
まとめ:安心してローンを活用するために
外壁塗装のローンは、適切に活用すれば家計への負担を軽減しながら必要な工事を実施できる有効な手段です。
重要なポイントの再確認
ローン選択のポイント
- 金利だけでなく総返済額で比較する
- 返済期間は無理のない範囲で設定する
- 住宅ローン減税の活用を検討する
- 複数の金融機関で条件を比較する
業者選択のポイント
- 資格・許可を確認する
- 複数社から見積もりを取る
- 過去の実績と評判を調べる
- 契約内容を十分に理解する
安全な進め方
- 事前に資金計画を立てる
- 家族でしっかりと相談する
- 第三者の意見も参考にする
- 契約前に最終確認する
編集部からのアドバイス
外壁塗装は住宅を長持ちさせるための重要な投資です。費用を理由に先延ばしにすると、結果的により大きな出費につながる可能性があります。
ローンを上手に活用することで、適切な時期に質の高い工事を実施し、住宅の資産価値を維持することが可能です。
ただし、この業界には残念ながら悪徳業者も存在します。慎重な業者選びと適正な契約内容の確認を怠らず、安心して工事を進めてください。
最後に、ローンは借金であることを忘れずに、無理のない返済計画を立てることが何より重要です。
ご自身の家計状況をしっかりと把握し、将来的な支出も考慮した上で、最適な選択をしてください。適切な外壁塗装により、大切な住まいを末永く守っていけることを願っています。
本記事の内容は2025年7月時点の情報に基づいています。金利や制度内容は変更される場合がありますので、実際の申込み前には最新情報をご確認ください。
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