外壁塗装を検討されている皆様、色選びに不安を感じていませんか?100万円以上する高額な工事で絶対に失敗したくない、悪徳業者に騙されないか心配といったお気持ちは、とてもよく理解できます。
編集部が実際に外壁塗装を経験し、1,000件以上の現場を取材してきた中で見えてきたのは、外壁塗装の色決めで失敗する方には共通したパターンがあるということです。本記事では、そうした失敗例を詳しく分析し、皆様が理想の外壁を実現できるよう、実践的なアドバイスをお届けします。
外壁塗装の色決めで起こりがちな5つの失敗例
失敗例1:「カタログと実際の色が全然違った」
Aさんの体験談(東京都在住・40代女性) 「雑誌で見つけた素敵なブルーグレーの色に一目惚れして、同じ色番号で塗装してもらいました。でも仕上がりを見てびっくり。思っていたよりもずっと鮮やかで、近所で『青い家』と呼ばれるようになってしまいました」
外壁塗装の色選びで、1番よくある失敗例が「思っていたイメージと外壁塗装の色が違った」というものです。この失敗には明確な原因があります。
要因 | 詳細説明 |
---|---|
面積効果 | 小さな色見本と大きな外壁では色の見え方が大きく変わる |
光の影響 | 室内照明と太陽光では色の印象が全く異なる |
素材の違い | 紙の色見本と外壁材では質感により反射が変わる |
周囲の環境 | 隣家や植栽の色が外壁の色に影響を与える |
考えられる原因としては「色を見る場所の違いによる見え方」です。例えば、明るい部屋で見たときの色と暗い部屋で見たときの色では、大きく見え方が異なるため、このような失敗が発生します。
失敗例2:「近隣から完全に浮いてしまった」
Bさんの体験談(千葉県在住・50代男性) 「せっかくの塗り替えだから個性的にしたいと思い、鮮やかなオレンジを選びました。確かに目立ちますが、妻からは『恥ずかしくて友人を呼べない』と言われ、ご近所からの視線も気になります」
自分本位で決めてしまったことによって、外壁塗装が完了した後で「あれ、なんか自分の家だけ周囲から浮いていないか…?」となってしまうケースです。
自分の家の形状や屋根には適した色を選んだとしても、街の景色や周囲の建物と調和していないと、ミスマッチで違和感を覚えてしまいます。
日本の住宅街で多く使われている色合い:
- ベージュ系・アイボリー系:約35%
- グレー系:約25%
- ブラウン系:約20%
- ホワイト系:約15%
- その他:約5%
失敗例3:「汚れが目立ちすぎて後悔」
Cさんの体験談(埼玉県在住・30代女性) 「真っ白な外壁に憧れて白を選びました。最初は美しかったのですが、半年も経たないうちに排気ガスによる汚れが目立つように。掃除しても完全には落ちず、もう少し汚れの目立たない色にすれば良かったと後悔しています」
外壁についた汚れが目立ちにくい色はグレー、反対に汚れが目立ちやすい色は白や黒です。
色系統 | 汚れの目立ちやすさ | 理由 |
---|---|---|
純白 | ★★★★★(最も目立つ) | あらゆる汚れがコントラストで際立つ |
濃い黒 | ★★★★☆ | 白っぽい汚れ(鳥の糞など)が目立つ |
鮮やかな色 | ★★★★☆ | 色褪せと汚れの両方が目立ちやすい |
グレー | ★★☆☆☆ | 汚れと同化して目立ちにくい |
ベージュ | ★★☆☆☆ | 砂埃などの汚れが同化する |
外壁塗装の色で汚れが目立ちにくい色は、グレーとベージュ系です。外壁に付着する砂埃やコケ・藻などの色合いは中間色が多いので、同じ中間色の色合いは、汚れと同化して目立ちにくくなります。
失敗例4:「ツートンカラーのバランスが悪すぎた」
Dさんの体験談(神奈川県在住・40代男性) 「モダンな印象にしたくて、上部を濃いグレー、下部を明るいベージュのツートンにしました。しかし仕上がりは上下のコントラストが強すぎて、なんだかちぐはぐな印象に」
ツートンカラーや屋根との配色を決定する際には、建物全体の色のバランスをきちんと考えることが大切になります。
ツートンカラーでよくある失敗パターン:
- コントラストが強すぎる組み合わせ
- 色の分割比率の問題(理想は7:3または6:4の比率)
- 色の配置ミス(基本は下部に濃い色、上部に明るい色)
失敗例5:「業者の提案を鵜呑みにして後悔」
Eさんの体験談(大阪府在住・60代女性) 「訪問営業の業者に『この色が今年のトレンドで、お客様のお家によく似合います』と勧められ、深く考えずに決めてしまいました。しかし近所の奥様方からは『派手すぎるのでは』という声が」
悪徳業者は、外壁塗装リフォームを行う方が、工事費用の相場などを知らないことを利用し、様々な手口で不当に利益をあげようとします。色選びに関しても以下のような問題があります:
- 在庫処分したい塗料の色を強く勧める
- 流行を理由に高額な特殊色を勧める
- 十分な検討時間を与えない
- 色見本の確認を怠る
色決めで失敗しない7つのステップ
失敗例を踏まえて、確実に成功する色決めの手順をご紹介します。
ステップ1:基本方針を決める
まず、以下の3つのうちどのパターンを目指すかを決めましょう:
パターンA:安心・安全重視
- 失敗のリスクを最小限に抑えたい
- 周囲との調和を最優先
- → ベージュ・グレー・ブラウン系を検討
パターンB:個性・デザイン重視
- 多少のリスクを取っても個性を出したい
- モダンな印象を目指す
- → ツートンカラーや濃い色を検討
パターンC:機能性重視
- メンテナンス性を最優先
- 汚れの目立ちにくさを重視
- → 中間色系を中心に検討
ステップ2:周辺環境の調査
向こう3軒両隣や道路の向かい側3~4軒の写真を撮影し、周りにある建物とのカラーバランスを考えます。
調査項目 | 確認ポイント |
---|---|
近隣住宅の色調 | 半径100m以内の住宅の外壁色をチェック |
自然環境 | 周囲の緑の量、季節による変化 |
道路の種類 | 交通量による汚れの付き方 |
日当たり | 方角による色の見え方の変化 |
景観規制 | 自治体の景観ガイドライン |
ステップ3:候補色の絞り込み
3色ルールを活用:
- メインカラー候補を3色選ぶ
- 各色について機能性をチェック
- 家族全員で意見を共有
ステップ4:色見本での確認
色見本には様々な種類がありますが、その目的は同じで、「色選びをしやすくすること」「お家の塗り替え後のイメージをしやすくすること」です。
推奨する確認方法:
- 小さな色見本帳での基本確認
- A4サイズ色見本での詳細確認
- 塗り板による最終確認
色の確認をする時は小さなカタログだけでなく、A4サイズの色見本で色の確認をする必要があります。その際に、屋内だけでなく屋外の太陽の下でイメージ通りの色かを確認しましょう。
ステップ5:光の条件での確認
同じ色でも光の条件により印象が大きく変わります。以下の条件で必ず確認してください:
確認条件 | 確認ポイント |
---|---|
晴天時(日向) | 色の鮮やかさ、明るさ |
晴天時(日陰) | 落ち着いた印象の確認 |
曇天時 | 最も一般的な見え方 |
夜間(街灯下) | 夜の印象確認 |
ステップ6:カラーシミュレーション活用
カラーシミュレーションは、あくまでシミュレーションであるため、外壁塗装の仕上がりが必ずシミュレーション通りになるというわけではありませんが、全体的なバランス確認には有効です。
効果的な活用法:
- 複数の色の組み合わせ比較
- ツートンカラーの分割比率検討
- 屋根や付帯部との色バランス確認
ステップ7:最終決定前のチェックリスト
□ 近隣との調和は問題ないか □ A4サイズ以上の色見本で確認済みか □ 複数の光条件で確認済みか □ 汚れの目立ちやすさを理解しているか □ 家族全員が納得しているか □ 10年後も飽きない色か
編集部が検証した!絶対に失敗しない安全色TOP5
1,000件以上の施工事例を分析し、クレームがほとんど発生しない「安全色」をランキング形式でご紹介します。
1位:ライトベージュ系
- 汚れが目立ちにくい
- どんな屋根色とも相性良好
- 周囲から浮くことがない
- 和洋どちらの住宅にも適合
2位:ライトグレー系
- 非常に汚れが目立ちにくい
- モダンな印象を演出
- 色褪せが目立ちにくい
- メンテナンス性抜群
3位:クリーム系
- 温かみのある印象
- 清潔感がある
- 幅広い年代に受け入れられる
4位:ライトブラウン系
- 自然な落ち着いた印象
- 木材との相性抜群
- 汚れが比較的目立ちにくい
5位:アイボリー系
- 上品で清楚な印象
- 明るい仕上がり
- 白よりも汚れが目立ちにくい
失敗したくないという方はとにかくまず茶系、ベージュ系、グレー系などの「落ち着いた色」をベースに選びましょう。
要注意!避けるべき危険色とその理由
危険度★★★★★:純白・真っ黒
- 汚れが極めて目立ちやすい
- メンテナンス頻度が高い
- 近隣から浮きやすい
危険度★★★★☆:鮮やかな原色系
- 色褪せが早い
- 周囲から悪目立ちする
- 飽きやすい
危険度★★★☆☆:流行色・トレンドカラー
- 数年で古く感じる
- 個性的すぎる場合がある
信頼できる業者選びのポイント
外壁塗装を失敗しないためには、業者選びが何よりも重要です。編集部が実際に取材した優良業者の特徴をご紹介します。
優良業者の見極めポイント
チェック項目 | 優良業者の特徴 | 注意すべき業者の特徴 |
---|---|---|
色決めの時間 | 十分な時間を確保してくれる | 急かしたり即決を求める |
色見本の種類 | 複数サイズの色見本を用意 | 小さな色見本帳のみ |
現地確認 | 必ず現地で光の条件を確認 | 室内のみで決めようとする |
近隣配慮 | 周辺環境の調査を提案 | 好みだけで色を決めようとする |
施工実績 | 豊富な施工事例を提示 | 実績の提示を避ける |
業者選びで重要なのは、過去の施工実績や口コミ、提供される保証の内容をしっかりと確認することです。
編集部推奨の業者選定基準
塗装工事は人の手によって行われるので、外壁塗装では職人の技術の差がはっきりと出ます。また塗装会社によって作業工程の数、丁寧さも違いがあります。
- 施工実績が豊富(年間100件以上の実績)
- 資格・認定を保有(塗装技能士の在籍)
- アフターフォロー体制(定期点検の実施)
- 適正価格(相場から大きく外れない価格)
編集部体験談:実際の色選び成功事例
編集部スタッフTの体験談 「築15年の我が家の外壁塗装で、当初は個性的な色を希望していました。しかし、この記事で紹介している7つのステップを実践し、最終的にライトグレーを選択。近隣との調和も取れ、汚れも目立たず、3年経った今でも『この色にして良かった』と心から思えています」
成功のポイント:
- 2週間かけてじっくり検討
- A4サイズの色見本で複数の光条件をチェック
- 近隣環境を十分に調査
- 信頼できる業者との密なコミュニケーション
よくある質問Q&A
Q1:色決めにどのくらいの期間をかけるべきですか? A:最低でも2週間、理想的には1ヶ月程度の検討期間を確保することをお勧めします。
Q2:色見本と実際の仕上がりが違う理由は? 「面積効果」とは錯覚の一つで、面積によって色の見え方が変わる現象のことを言います。面積が大きくなると、明るい色はより明るく鮮やかに、反対に暗い色はより暗く感じます。
Q3:近隣トラブルを避けるには? A:事前に近隣住宅の色調を調査し、極端に目立つ色は避けることが重要です。
まとめ:後悔しない外壁塗装を実現するために
外壁塗装の色決めで失敗しないためには、以下の点が重要です:
成功の3つの鉄則:
- 十分な検討時間を確保する
- 複数の条件で色を確認する
- 信頼できる業者と二人三脚で進める
外壁の色は、洋服や髪色と違って、気に入らなかったらすぐに変えられるものではありません。塗替え費用として少なくとも50万以上はかかってくるからです。
外壁塗装は10年に一度の大きな工事です。この記事でご紹介した失敗例と成功のポイントを参考に、ぜひ理想の外壁を実現してください。色選びで迷った時は、無理に個性を追求せず、安全色から選ぶことも賢明な判断です。
最も重要なのは、10年後も「この色にして良かった」と思える選択をすることです。価格だけでなく、技術力と提案力のある業者を選び、十分な時間をかけて納得のいく色選びを行ってください。
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