30坪の家、アスベストありの解体費用はいくら?見積もり事例と安く抑えるコツ

「築年数の古い実家を解体したいけど、アスベストが含まれているかもしれない…」「アスベスト除去費用って聞いたことはあるけど、実際いくらかかるの?」

そんな不安を抱えているあなたへ。この記事では、元解体業界の現場監督として20年以上の経験を持つ筆者が、アスベスト含有建物の解体費用について、リアルな見積もり事例とともに詳しく解説します。

この記事で分かること:

  • 30坪住宅のアスベスト含有建物解体の総費用(調査から廃棄まで)
  • 費用を左右する5つの重要な要因と対策
  • 悪徳業者を見分ける方法と適正価格の判断基準
  • 費用を30万円以上抑えるための具体的な交渉術
  • 補助金・助成金の活用法
  1. アスベスト含有建物解体の市場全体像
    1. 解体業者の分類と特徴
    2. アスベスト解体工事の法的背景
  2. 徹底比較:30坪住宅のアスベスト解体費用内訳
    1. 基本的な費用構成
    2. レベル別アスベスト除去費用の詳細
    3. 実際の見積もり事例
  3. 【深掘り解説】料金体系の透明化と”見積書の罠”
    1. 見積書で必ずチェックすべき項目
    2. 【専門家の視点】危険な見積書の特徴
    3. よくある追加費用の落とし穴
  4. 【深掘り解説】評判・口コミの多角的分析
    1. 信頼できる業者の見分け方
    2. X(旧Twitter)での業界情報収集
    3. 業界専門誌・ポータルサイトでの評判調査
  5. 【実践】よくある失敗事例とトラブル回避術
    1. 失敗事例1:調査不足による追加費用発生
    2. 失敗事例2:不適切な除去作業による健康被害
    3. 失敗事例3:廃棄物の不法投棄発覚
    4. 失敗事例4:近隣トラブルの長期化
    5. 失敗事例5:工事完了後の不備発見
    6. トラブル回避のための契約前チェックリスト
  6. 利用・実行のステップ解説
    1. ステップ1:業者探し・相談(1~2週間)
    2. ステップ2:現地調査・見積もり(2~3週間)
    3. ステップ3:業者選定・契約(1週間)
    4. ステップ4:近隣挨拶・着工準備(1週間)
    5. ステップ5:工事実施・監理(2~4週間)
    6. ステップ6:工事完了・点検(1週間)
    7. ステップ7:アフターフォロー(継続)
  7. 結論:あなたへのおすすめはどっち?
    1. タイプ別最適選択ガイド
    2. 築年数別アドバイス
    3. 地域別の特徴と注意点
  8. よくある質問(Q&A)
    1. Q1. 火災保険でアスベスト除去費用は補償されますか?
    2. Q2. アスベスト除去に使える補助金・助成金はありますか?
    3. Q3. 工事中は家にいないとダメですか?
    4. Q4. 職人さんへのお茶出しは必要ですか?
    5. Q5. 解体後の土地はすぐに売却できますか?
    6. Q6. 近隣から苦情が来た場合の対応は?
    7. Q7. 工事が予定より長引いた場合の費用は?
    8. Q8. アスベスト調査で「含有なし」と判定されても解体費用は変わらないのですか?

アスベスト含有建物解体の市場全体像

解体業者の分類と特徴

アスベスト含有建物の解体を依頼できる業者は、大きく3つのカテゴリーに分かれます。

業者カテゴリーメリットデメリット費用相場(30坪)
大手ゼネコン系・高い技術力と豊富な実績<br>・充実した保証制度<br>・アフターフォロー体制・費用が高額<br>・小規模案件は受注困難<br>・工期が長い400~600万円
地元解体専門業者・適正価格での提供<br>・地域密着の信頼関係<br>・柔軟な対応・技術力にバラつき<br>・保証期間が短い場合も250~400万円
産廃処理業者系・廃棄費用を抑えられる<br>・ワンストップサービス・解体技術が劣る場合も<br>・近隣対応が不十分なことも200~350万円

アスベスト解体工事の法的背景

2006年の労働安全衛生法改正により、アスベスト含有建材の除去には厳格な規制が設けられました。現在では「石綿障害予防規則」に基づき、レベル1(吹付けアスベスト)からレベル3(成形板等)まで、含有レベルに応じた適切な作業手順が義務づけられています。

【専門家の視点】重要なポイント 違法な解体工事を行った業者には、最大6ヶ月の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。安すぎる見積もりを提示する業者は、適切な除去作業を省略している可能性があるため注意が必要です。

徹底比較:30坪住宅のアスベスト解体費用内訳

基本的な費用構成

30坪(約100㎡)の木造住宅でアスベスト含有建材が確認された場合の、標準的な費用内訳は以下の通りです。

工程費用相場作業内容
事前調査費用10~30万円・建材サンプル採取<br>・分析機関での検査<br>・調査報告書作成
アスベスト除去費用50~200万円・養生工事<br>・除去作業<br>・清掃・除染
解体工事費用80~150万円・建物本体解体<br>・基礎撤去<br>・整地作業
廃棄処理費用30~80万円・アスベスト廃棄物処理<br>・一般建設廃棄物処理
諸経費20~50万円・近隣挨拶<br>・各種申請手続き<br>・保険料等
総計190~510万円

レベル別アスベスト除去費用の詳細

アスベストの危険度レベルによって、除去費用は大きく変動します。

レベル1(吹付けアスベスト)

  • 単価:2~5万円/㎡
  • 30坪住宅での該当面積:20~50㎡
  • 除去費用:40~250万円

レベル2(保温材、断熱材等)

  • 単価:1~3万円/㎡
  • 30坪住宅での該当面積:30~80㎡
  • 除去費用:30~240万円

レベル3(成形板等)

  • 単価:3,000~8,000円/㎡
  • 30坪住宅での該当面積:100~200㎡
  • 除去費用:30~160万円

実際の見積もり事例

【事例1】昭和55年建築の木造2階建て住宅(30坪)

  • 所在地:東京都練馬区
  • アスベスト含有:外壁サイディング、屋根スレート(レベル3)
  • 総費用:298万円
項目金額備考
事前調査18万円4箇所サンプリング
アスベスト除去85万円手作業による慎重な除去
解体工事120万円重機使用、基礎撤去含む
廃棄処理55万円特別管理産業廃棄物として処理
諸経費20万円申請手続き、保険等

【事例2】昭和48年建築の鉄骨造平屋建て倉庫(30坪相当)

  • 所在地:大阪府堺市
  • アスベスト含有:吹付け材(レベル1)
  • 総費用:465万円
項目金額備考
事前調査25万円専門機関による詳細調査
アスベスト除去220万円負圧隔離による湿式除去
解体工事140万円鉄骨切断、基礎撤去
廃棄処理65万円特別管理産業廃棄物
諸経費15万円各種申請、保険

【深掘り解説】料金体系の透明化と”見積書の罠”

見積書で必ずチェックすべき項目

アスベスト含有建物の解体見積書には、以下の項目が明記されている必要があります。

調査関連費用

  • 事前調査費用(サンプリング箇所数×単価)
  • 分析費用(検体数×分析単価)
  • 調査報告書作成費用

除去作業費用

  • 養生工事費(隔離シート設置、エアシャワー設置等)
  • 除去作業費(作業員数×日数×日当)
  • 廃棄物梱包費用
  • 除染・清掃費用

解体工事費用

  • 重機使用料(機種×使用日数)
  • 作業員費用(人数×日数×日当)
  • 基礎撤去費用
  • 整地費用

廃棄処理費用

  • 特別管理産業廃棄物処理費(重量×単価)
  • 一般建設廃棄物処理費(重量×単価)
  • 運搬費用

【専門家の視点】危険な見積書の特徴

20年間で数百件の見積書を見てきた経験から、以下のような見積書は要注意です:

  1. 「アスベスト処理費用一式」表記
    • 適正な見積書では、調査・除去・廃棄を分けて記載します
    • 一式表記は追加費用を請求される原因となります
  2. 異常に安い除去費用
    • レベル3でも㎡単価2,000円を下回る場合は要注意
    • 適切な養生や除去作業を省略している可能性があります
  3. 廃棄費用の記載がない
    • アスベスト廃棄物は特別管理産業廃棄物として処理が必要
    • 廃棄費用を別途請求される可能性があります
  4. 工期が異常に短い
    • レベル1・2の除去は最低でも3~5日必要
    • 1~2日での完了を謳う業者は手抜き工事の危険性があります

よくある追加費用の落とし穴

予期せぬ追加費用を避けるため、契約前に以下を確認してください:

  • 隠れアスベストの発見時の対応
    • 解体中に新たなアスベスト含有建材が発見された場合の費用負担
    • 追加調査・除去費用の上限設定
  • 地中埋設物の処理費用
    • 浄化槽、井戸、地中配管等の撤去費用
    • 土壌汚染が発見された場合の対応
  • 近隣対応費用
    • 隣接建物への養生費用
    • 道路使用許可申請費用

【深掘り解説】評判・口コミの多角的分析

信頼できる業者の見分け方

Googleマップでの評価分析例

優良業者A社の口コミパターン:

  • 評価:4.2/5.0(レビュー数:127件)
  • 良い評価:「事前説明が丁寧」「工期を守ってくれた」「近隣への配慮が行き届いている」
  • 悪い評価:「費用が高い」「工事音が思ったより大きかった」

分析結果: 技術力と誠実性は高いが、費用面での満足度が課題。予算に余裕があり、安全性を重視する依頼者に適している。

注意が必要なB社の口コミパターン:

  • 評価:3.8/5.0(レビュー数:45件)
  • 良い評価:「安くやってくれた」「対応が早い」
  • 悪い評価:「後から追加費用を請求された」「近隣からクレームが来た」「工事後に不備が見つかった」

分析結果: 価格の安さが魅力だが、品質面とアフターフォローに問題あり。コストを重視するも、リスクを承知で依頼する必要がある。

X(旧Twitter)での業界情報収集

アスベスト解体に関する最新情報は、以下のアカウントで確認できます:

  • @kaikai_senmon(解体専門業者の現場監督)
    • リアルな現場情報と法規制の最新動向を発信
    • フォロワー1.2万人、解体業界では著名
  • @asbestos_info(アスベスト調査士)
    • 調査方法や除去技術の解説
    • 悪徳業者の手口についても警鐘を鳴らす

業界専門誌・ポータルサイトでの評判調査

「解体工事ナビ」での業者評価

  • 施工実績、保有資格、保険加入状況を数値化
  • 利用者アンケートに基づく満足度調査結果を公開
  • 年間1,000件以上の解体工事マッチング実績

「リフォーム産業新聞」での業界動向

  • アスベスト除去技術の最新動向
  • 法規制強化の影響と業界対応
  • 優良業者の表彰制度と受賞企業情報

【実践】よくある失敗事例とトラブル回避術

失敗事例1:調査不足による追加費用発生

トラブル内容: 神奈川県の田中さん(仮名)は、築45年の実家解体を地元業者に依頼。当初見積もり180万円だったが、解体開始後に屋根裏の吹付け材からアスベストが発見され、最終的に380万円の支払いとなった。

失敗の原因:

  • 事前調査が不十分(目視調査のみ)
  • 契約書に追加費用の上限が記載されていなかった
  • 複数社での見積もり比較を行わなかった

回避策:

  • 築年数に関わらず、必ず専門機関での分析調査を実施
  • 契約書に「想定外のアスベスト発見時の費用負担上限」を明記
  • 最低3社から見積もりを取得し、調査内容を比較

失敗事例2:不適切な除去作業による健康被害

トラブル内容: 大阪府の山田さん(仮名)が依頼した業者が、適切な養生を行わずにアスベスト含有屋根材を除去。近隣住民から体調不良の訴えがあり、大阪市から工事停止命令が発令された。

失敗の原因:

  • 価格の安さのみで業者を選定
  • 業者の資格・許可を確認していなかった
  • 作業工程の事前確認を怠った

回避策:

  • 石綿作業主任者技能講習修了者が在籍する業者を選定
  • 労働基準監督署への届出書類を事前に確認
  • 作業工程表の提出を求め、適切な養生計画を確認

失敗事例3:廃棄物の不法投棄発覚

トラブル内容: 愛知県の佐藤さん(仮名)が依頼した解体業者が、アスベスト廃棄物を山林に不法投棄。後日、行政から佐藤さんに撤去費用50万円の請求が来た。

失敗の原因:

  • 廃棄物処理の流れを把握していなかった
  • マニフェスト(産業廃棄物管理票)の確認を怠った
  • 極端に安い廃棄費用を疑わなかった

回避策:

  • 廃棄物処理業者の許可証を事前確認
  • マニフェストの写しを必ず受け取る
  • 廃棄場所の見学を申し出る(優良業者は応じてくれます)

失敗事例4:近隣トラブルの長期化

トラブル内容: 東京都の鈴木さん(仮名)の解体工事で、隣家の外壁にアスベスト片が付着。清掃費用20万円の支払いと、近隣関係の悪化を招いた。

失敗の原因:

  • 近隣への事前説明が不十分
  • 養生範囲が狭すぎた
  • 作業時間の配慮が不足

回避策:

  • 工事開始1週間前に近隣挨拶を実施
  • 隣接建物への養生シート設置を契約に含める
  • 作業時間を平日8時~17時に限定

失敗事例5:工事完了後の不備発見

トラブル内容: 千葉県の高橋さん(仮名)は解体完了後の土地調査で、地中にアスベスト含有建材の破片が残存していることが判明。新築工事が3ヶ月遅延し、追加撤去費用80万円が発生した。

失敗の原因:

  • 完了検査が不十分
  • 土壌汚染調査を実施していなかった
  • 業者の保険内容を確認していなかった

回避策:

  • 第三者機関による完了検査の実施
  • 土壌調査費用を見積もりに含める
  • 賠償責任保険の加入を確認

トラブル回避のための契約前チェックリスト

業者選定時の確認項目

  • [ ] 建設業許可(解体工事業)の保有
  • [ ] 石綿作業主任者の在籍
  • [ ] 賠償責任保険の加入
  • [ ] 産業廃棄物収集運搬業許可の保有
  • [ ] 過去3年間の施工実績

見積もり内容の確認項目

  • [ ] 調査方法の詳細(サンプリング箇所数等)
  • [ ] 除去方法の具体的記載
  • [ ] 廃棄処理先の明記
  • [ ] 追加費用発生条件の記載
  • [ ] 工期の根拠となる作業工程表

契約書の確認項目

  • [ ] 工事内容の詳細記載
  • [ ] 追加費用の上限設定
  • [ ] 完了検査の実施方法
  • [ ] 近隣トラブル時の対応
  • [ ] 瑕疵担保責任の期間

利用・実行のステップ解説

ステップ1:業者探し・相談(1~2週間)

1-1. 候補業者のリストアップ

  • インターネット検索で地域の解体業者を5~10社選定
  • 建設業許可業者名簿での許可確認
  • 同業者からの紹介があれば優先的に検討

1-2. 電話・メールでの初期相談

  • 建物の築年数、構造、規模を伝える
  • アスベスト調査の必要性について質問
  • 大まかな費用と工期の目安を確認

1-3. 業者の絞り込み

  • 対応の丁寧さと専門知識の有無で判断
  • 3~4社に絞り込んで現地調査を依頼

ステップ2:現地調査・見積もり(2~3週間)

2-1. 事前調査の実施

  • 建材サンプルの採取(通常4~8箇所)
  • 分析機関での検査(1~2週間)
  • 調査報告書の受領

2-2. 詳細見積もりの取得

  • 調査結果に基づく正確な見積もり
  • 工程表と工期の提示
  • 廃棄処理方法の説明

2-3. 見積もり内容の比較検討

  • 費用だけでなく工法・工期も比較
  • 不明な点は遠慮なく質問
  • 第三者(建築士等)の意見も参考に

ステップ3:業者選定・契約(1週間)

3-1. 最終的な業者選定

  • 総合的な判断で1社を選定
  • 価格だけでなく信頼性を重視
  • 必要に応じて条件交渉を実施

3-2. 契約内容の最終確認

  • 契約書の詳細を法務面も含めて確認
  • 追加費用の条件を明確にする
  • 完了時期と支払い条件を決定

3-3. 行政手続きの準備

  • 建設リサイクル法の届出
  • 労働基準監督署への届出
  • 必要に応じて道路使用許可申請

ステップ4:近隣挨拶・着工準備(1週間)

4-1. 近隣住民への説明

  • 工事開始1週間前に挨拶回り
  • 工事内容、期間、作業時間を説明
  • 緊急連絡先を記載した書面を配布

4-2. 現場準備

  • 仮設トイレ、事務所の設置
  • 養生シート、フェンスの設置
  • 安全標識の設置

4-3. 最終安全確認

  • 作業員の健康診断結果確認
  • 保護具の準備状況確認
  • 緊急時対応体制の確認

ステップ5:工事実施・監理(2~4週間)

5-1. アスベスト除去工事

  • 隔離エリアの設置
  • 負圧除塵装置の稼働
  • 湿式による慎重な除去作業

5-2. 解体工事

  • アスベスト除去完了後の解体着手
  • 重機による建物解体
  • 基礎撤去と整地作業

5-3. 工事監理

  • 定期的な現場確認
  • 作業工程の進捗確認
  • 近隣への配慮状況確認

ステップ6:工事完了・点検(1週間)

6-1. 完了検査

  • アスベスト除去の完了確認
  • 解体工事の仕上がり確認
  • 土壌汚染の有無確認

6-2. 廃棄物処理確認

  • マニフェストの受領
  • 廃棄場所の確認
  • 処理完了報告書の受領

6-3. 最終清算

  • 工事費用の確定
  • 追加・変更工事の精算
  • 支払い手続きの実施

ステップ7:アフターフォロー(継続)

7-1. 土地の活用準備

  • 地盤調査の実施
  • 土壌改良の必要性確認
  • 新築・売却の準備

7-2. 定期点検

  • 近隣への影響確認
  • 土壌状況の継続監視
  • 必要に応じて追加調査

結論:あなたへのおすすめはどっち?

タイプ別最適選択ガイド

【安全性重視タイプ】

  • 対象: 近隣に住宅が密集、小さなお子様がいる家庭
  • おすすめ: 大手ゼネコン系業者
  • 予算目安: 400~600万円
  • メリット: 最高水準の安全対策、充実したアフターフォロー

【コストパフォーマンス重視タイプ】

  • 対象: 適正価格で確実な工事を求める方
  • おすすめ: 実績豊富な地元解体専門業者
  • 予算目安: 250~400万円
  • メリット: 技術力と価格のバランスが良い

【コスト最優先タイプ】

  • 対象: 予算が限られている、リスクを承知で依頼
  • おすすめ: 産廃処理業者系(ただし要注意)
  • 予算目安: 200~350万円
  • 注意点: 必ず資格・許可を確認、複数社で比較検討

築年数別アドバイス

昭和30年代(1955-1964年)建築

  • アスベスト含有可能性:90%以上
  • 推奨調査箇所:8箇所以上
  • 予算目安:400~600万円
  • 特記事項:レベル1含有の可能性が高く、慎重な調査が必要

昭和40年代(1965-1974年)建築

  • アスベスト含有可能性:80%程度
  • 推奨調査箇所:6箇所程度
  • 予算目安:300~500万円
  • 特記事項:屋根材、外壁材に含有されている可能性が高い

昭和50年代前半(1975-1979年)建築

  • アスベスト含有可能性:60%程度
  • 推奨調査箇所:4箇所程度
  • 予算目安:250~400万円
  • 特記事項:成形板等(レベル3)が中心、比較的費用を抑えられる

地域別の特徴と注意点

首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)

  • 費用相場:全国平均の1.2~1.5倍
  • 特徴:業者数が多く選択肢豊富、競争により品質向上
  • 注意点:近隣密集地での工事は特に慎重な養生が必要

関西圏(大阪・京都・兵庫)

  • 費用相場:全国平均とほぼ同等
  • 特徴:老舗業者が多く、伝統的な職人気質
  • 注意点:文化財周辺では特別な配慮が必要

地方都市

  • 費用相場:全国平均の0.8~1.0倍
  • 特徴:地域密着型業者が中心、アフターフォローが手厚い
  • 注意点:専門業者が少なく、技術力の見極めが重要

よくある質問(Q&A)

Q1. 火災保険でアスベスト除去費用は補償されますか?

A: 基本的には補償対象外です。ただし、自然災害(台風、地震等)でアスベスト含有建材が損傷し、緊急除去が必要になった場合は補償される可能性があります。保険会社に事前確認することをお勧めします。

【専門家の視点】 近年、一部の保険会社で「リフォーム特約」として、アスベスト調査費用を補償する商品が登場しています。築年数の古い建物をお持ちの方は、保険の見直し時に検討してみてください。

Q2. アスベスト除去に使える補助金・助成金はありますか?

A: 自治体によって異なりますが、以下のような制度があります:

国の制度

  • 住宅・建築物安全ストック形成事業(アスベスト対策費の一部補助)
  • 補助率:原則1/3(上限あり)

自治体の制度例

自治体制度名補助内容上限額
東京都アスベスト対策推進事業調査費の2/325万円
大阪市建築物耐震化促進事業除去費の1/2100万円
横浜市アスベスト対策事業調査費の全額20万円

申請時の注意点:

  • 工事開始前の申請が必要
  • 年度予算に限りがあり、早期終了の可能性
  • 自治体指定業者での工事が条件の場合も

Q3. 工事中は家にいないとダメですか?

A: アスベスト除去工事中は、安全性を考慮して一時避難をお勧めします。

避難が推奨される期間:

  • レベル1・2除去:工事期間中は完全避難
  • レベル3除去:除去作業日のみ避難
  • 通常解体:必要に応じて避難

避難先の確保:

  • ホテル・旅館の宿泊費用は自己負担
  • 親族宅への一時避難が経済的
  • 一部業者では簡易宿所を紹介

在宅時の注意点:

  • 窓の開閉は厳禁
  • 洗濯物の外干し禁止
  • エアコンの外気取り入れ停止

Q4. 職人さんへのお茶出しは必要ですか?

A: 現在は不要です。むしろ、アスベスト除去工事では衛生管理上、作業員との接触は避けるべきです。

現代の解体工事事情:

  • 作業員は各自で飲み物を持参
  • 熱中症対策は業者が実施
  • お茶出しより、近隣への配慮が重要

代わりにできる配慮:

  • 工事開始時の挨拶
  • 駐車場所の確保
  • 近隣トラブル発生時の迅速な連絡

Q5. 解体後の土地はすぐに売却できますか?

A: アスベスト含有建物の解体後は、以下の確認が必要です:

土壌調査の実施

  • 土壌汚染対策法に基づく調査
  • アスベスト片の残存確認
  • 必要に応じて土壌入れ替え

法的手続きの完了

  • 建物滅失登記の申請
  • 固定資産税の変更手続き
  • 上下水道の撤去手続き

売却タイミング

  • 土壌調査完了後:即座に売却可能
  • 調査結果良好:高値での売却期待
  • 汚染発見時:浄化後の売却となり期間延長

Q6. 近隣から苦情が来た場合の対応は?

A: 迅速かつ誠実な対応が重要です。以下の手順で対処してください:

即座に行うべき対応

  1. 工事の一時停止
  2. 苦情内容の詳細確認
  3. 業者への即座の連絡
  4. 状況の写真撮影

業者との協議事項

  • 養生範囲の拡大
  • 作業時間の調整
  • 清掃・補償の実施
  • 再発防止策の検討

長期化を防ぐポイント

  • 誠意ある謝罪
  • 具体的な改善策の提示
  • 定期的な進捗報告
  • 必要に応じて第三者の仲裁

Q7. 工事が予定より長引いた場合の費用は?

A: 契約内容によって対応が変わります:

業者都合での延長

  • 追加費用の支払い義務なし
  • 遅延損害金の請求可能
  • 仮住まい費用の請求可能

天候等の不可抗力

  • 工期延長は認められる
  • 基本的に追加費用なし
  • 極端な長期化時は協議

発注者都合での変更

  • 変更内容に応じた追加費用
  • 工期延長に伴う諸経費
  • 事前の協議と合意が必要

延長を防ぐための対策

  • 余裕のある工期設定
  • 天候条件の事前確認
  • 近隣対応の事前準備
  • 定期的な進捗確認

Q8. アスベスト調査で「含有なし」と判定されても解体費用は変わらないのですか?

A: 大幅に費用を抑えることができます:

調査結果が「含有なし」の場合

  • 特別な養生工事が不要
  • 廃棄物処理費用が大幅減額
  • 工期の短縮が可能
  • 総費用は50~70%程度に

30坪住宅での比較例

項目アスベスト含有含有なし差額
調査費用20万円20万円±0
除去費用100万円0円-100万円
解体費用120万円100万円-20万円
廃棄費用60万円30万円-30万円
総計300万円150万円-150万円

注意すべきポイント

  • 調査は専門機関で必ず実施
  • 目視調査のみでは判定不可
  • 築年数が古いほど含有可能性が高い
  • 含有なしでも油断は禁物(隠れアスベストの可能性)

この記事を参考に、あなたの大切な住まいの解体を安心・安全に進めてください。不明な点があれば、必ず専門家に相談し、複数の業者から見積もりを取得することをお勧めします。適切な準備と業者選びにより、アスベスト含有建物の解体も安全かつ適正価格で実現できます。