「シリコン塗料は15年持つと言われたのに、わずか5年で劣化してしまった…」そんな経験はありませんか?外壁塗装を検討する際、シリコン塗料の寿命に関する業者の説明に疑問を感じている方も多いでしょう。
この記事では、シリコン塗料の本当の寿命と、なぜ業者の説明と実際の寿命に差が生まれるのかを詳しく解説します。悪徳業者に騙されずに、本当に長持ちする外壁塗装を実現するための知識をお伝えします。
シリコン塗料の寿命「15年」は本当か?
一般的に言われる寿命
シリコン塗料の耐用年数は、一般的に8年〜15年と言われています。多くの塗装業者は「シリコン塗料なら15年は持ちます」と説明しますが、この数字には注意が必要です。
実際のシリコン塗料の寿命は、以下の複数の要因によって大きく左右されます:
影響要因 | 短縮要因 | 延長要因 |
---|---|---|
シリコン含有量 | 含有量が少ない粗悪品 | 高品質な大手メーカー品 |
施工品質 | 手抜き工事、下地処理不備 | 適切な3回塗り、丁寧な下地処理 |
環境条件 | 海沿い、交通量多、工業地域 | 住宅地、穏やかな気候 |
外壁材との相性 | 相性が悪い組み合わせ | 適切な塗料選択 |
なぜ寿命に差が生まれるのか
編集部が実際に調査したところ、シリコン塗料の寿命に大きな差が生まれる主な理由は以下の通りです:
1. シリコン樹脂の含有量の違い
シリコン塗料は、アクリル樹脂とシリコン樹脂を混合した塗料です。シリコン樹脂の含有率が高いほど耐用年数は長くなりますが、この含有率はメーカーのカタログには明記されていません。
2. 塗料のグレードによる品質差
同じ「シリコン塗料」でも、以下のような種類があります:
- 水性1液型:価格は安いが耐久性は控えめ(7〜10年)
- 溶剤系1液型:バランス型(10〜12年)
- 溶剤系2液型:最も高性能(12〜15年)
3. 施工業者の技術力
どんなに優れた塗料を使っても、施工が不適切であれば1年で剥がれてしまうことがあります。特に以下の工程が重要です:
- 高圧洗浄による下地処理
- プライマー(下塗り)の適切な選択
- 規定の乾燥時間の遵守
- 適切な塗料の希釈率
シリコン塗料の本当のメリット・デメリット
メリット
コストパフォーマンスの良さ
シリコン塗料は価格と性能のバランスに優れており、多くの住宅で採用されています。フッ素塗料と比較すると初期費用を抑えながら、ウレタン塗料よりも長期間の保護効果が期待できます。
優れた耐候性
シリコン塗料に含まれるシロキサン結合(Si-O結合)は、ガラスと同じ構造で非常に安定しています。紫外線や酸性雨に対する抵抗力が高く、色褪せや劣化を抑制します。
汚れにくい表面
シリコン塗料は表面が滑らかで汚れが付着しにくく、付着した汚れも雨水で自然に洗い流されやすい特徴があります。
デメリット
ひび割れしやすい硬質な塗膜
シリコン塗料は硬い塗膜を形成するため、建物の動きや地震による振動に柔軟に対応できません。特にモルタル外壁では、下地のひび割れに追従できずに塗膜も一緒に割れてしまうリスクがあります。
重ね塗りが困難
シリコン塗料は撥水性が高いため、将来の塗り替え時に新しい塗料との密着性が悪くなる傾向があります。適切な下地処理が必要になるため、施工の難易度が上がります。
職人の技術が必要
シリコン塗料は粘度が低く沈殿しにくい性質があり、扱いが難しい塗料です。経験豊富な職人でないと、均一な仕上がりを得ることが困難です。
他の塗料との寿命比較
外壁塗装で使用される主要な塗料の寿命と特徴を比較してみましょう:
塗料の種類 | 耐用年数 | 平米単価(目安) | 特徴 |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 3〜8年 | 1,500〜2,500円 | 最も安価だが寿命が短い |
ウレタン塗料 | 5〜10年 | 2,000〜3,000円 | 柔軟性があり付帯部に適している |
シリコン塗料 | 8〜15年 | 2,500〜4,000円 | バランス型で最も人気 |
ラジカル塗料 | 12〜16年 | 2,900〜4,300円 | 新しい技術で高性能 |
フッ素塗料 | 15〜20年 | 4,000〜6,000円 | 高耐久だが高価格 |
無機塗料 | 15〜25年 | 5,000〜8,000円 | 最高性能だが非常に高価 |
編集部体験談:実際の寿命検証
編集部では、築15年の一戸建て住宅でシリコン塗料による外壁塗装を実施し、その後の経過を追跡調査しました。
使用塗料:大手メーカーS社の高品質シリコン塗料 施工時期:2018年春 現在の状況(2025年):7年経過時点
- チョーキング現象:軽微に発生
- 色褪せ:ほとんど見られない
- ひび割れ:付帯部の一部で発見
- 汚れ:雨筋汚れが若干見られる
この結果から、適切な塗料と施工業者を選べば、カタログ値に近い寿命を実現できることが確認できました。
失敗しない業者選びのポイント
信頼できる業者の見分け方
1. 施工実績の確認
- シリコン塗料での施工実績が豊富
- 施工後のアフターフォロー体制が整っている
- 近隣での施工事例を見せてもらえる
2. 使用塗料の詳細説明
- 塗料の正式な商品名を明記
- メーカーのカタログを提示
- シリコン含有量について説明できる
3. 施工工程の詳細提示
- 下地処理の内容を具体的に説明
- 3回塗り(下塗り・中塗り・上塗り)を遵守
- 乾燥時間を適切に設ける
4. 保証制度の充実
- 施工保証が5年以上
- 塗膜の剥がれ、変色に対する保証
- 保証書の発行
避けるべき業者の特徴
危険な営業トーク
- 「シリコン塗料は絶対に15年持ちます」
- 「今日契約すれば特別価格」
- 「近所で工事をするので足場代が無料」
- 「オリジナル塗料で30年保証」
見積書の注意点
- 塗料名が「シリコン塗料」のみで商品名が不明
- 塗装面積の記載が曖昧
- 下地処理の項目が不十分
- 極端に安い、または高い見積もり
シリコン塗料の寿命を延ばす方法
適切なメンテナンス
定期点検の実施
5年に1度は以下の項目をチェックしましょう:
- チョーキング現象:手で触れて白い粉が付くかどうか
- ひび割れ:特に窓周りやコーキング部分
- 色褪せ:南面の壁を重点的に確認
- 汚れの付着状況:雨筋汚れやカビの発生
軽微な補修の早期対応
小さなひび割れやコーキングの劣化は、放置すると雨水の浸入により大きな損傷に発展します。早期の補修により塗料の寿命を延ばすことができます。
環境に応じた対策
海沿いの住宅
塩害の影響を受けやすい地域では、シリコン塗料よりもフッ素塗料や無機塗料の検討をおすすめします。また、年1回の高圧洗浄により塩分を除去することで寿命を延ばせます。
交通量の多い道路沿い
排気ガスによる汚れが付着しやすい環境では、低汚染性に優れたシリコン塗料を選択し、3年に1度程度の清掃を行うことが効果的です。
本当に15年持つシリコン塗料の選び方
推奨メーカーと商品
信頼性の高い大手メーカーの商品を選びましょう:
日本ペイント
- ファインシリコンフレッシュ
- ファインSi
関西ペイント
- アレスシリコン樹脂塗料
- セラMシリコンⅢ
エスケー化研
- クリーンマイルドシリコン
- エスケープレミアムシリコン
これらの商品は実績が豊富で、カタログ値の信頼性も高いとされています。
施工時期の選択
塗装の品質に大きく影響する施工時期の選択も重要です:
最適な季節
- 春(4〜5月):湿度が低く気温も安定
- 秋(9〜11月):降雨が少なく乾燥しやすい
避けるべき時期
- 梅雨時期(6〜7月):湿度が高く乾燥不良のリスク
- 真夏(8月):気温が高すぎて塗料の性能に影響
- 真冬(12〜2月):気温が低く乾燥に時間がかかる
まとめ:シリコン塗料で失敗しないために
シリコン塗料の寿命「15年」は決して嘘ではありませんが、以下の条件が揃った場合に限られます:
- 高品質な塗料の選択:大手メーカーの実績ある商品
- 信頼できる施工業者:適切な技術と経験を持つ業者
- 適切な施工環境:気候条件を考慮した施工時期
- 定期的なメンテナンス:5年ごとの点検と早期補修
外壁塗装は住宅を守る重要な工事です。業者の甘い営業トークに惑わされず、しっかりと情報収集をして信頼できる業者を選びましょう。
複数業者からの見積もり取得と、使用塗料の詳細確認を怠らないことが、長持ちする外壁塗装を実現する鍵となります。適切な知識を持って業者選びを行えば、シリコン塗料の本来の性能を十分に発揮させることができるでしょう。
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