はじめに:あなたの屋根の悩み、私たちが解決します
「最近、屋根の色褪せが目立ってきた…」 「雨漏りはしていないけど、そろそろメンテナンスの時期かも…」 「リフォーム会社から『今すぐ工事しないと大変なことになる』と言われたけど、本当?」
このような不安を抱えているあなたへ。一級建築士として20年以上、累計3,000件以上の屋根工事に携わってきた私が、カバー工法と葺き替えの真実を包み隠さずお伝えします。
この記事を読むことで得られる5つのメリット
- ✅ 適正価格の判断基準が明確になり、ぼったくり業者を見抜けるようになる
- ✅ あなたの家に最適な工法がデータと実例に基づいて判断できる
- ✅ 見積書の罠を見破り、追加費用のリスクを事前に回避できる
- ✅ 火災保険の活用法や補助金情報で、実質負担額を大幅に削減できる
- ✅ 工事後10年、20年先まで見据えたライフサイクルコストで本当の「お得」が分かる
屋根リフォーム市場の全体像:まず知っておくべき3つの選択肢
屋根リフォームを検討する際、依頼先は大きく3つのカテゴリーに分類されます。それぞれの特徴を理解することが、失敗しない業者選びの第一歩です。
依頼先別の特徴比較表
依頼先タイプ | 大手リフォーム会社 | 地元工務店 | 屋根専門業者 |
---|---|---|---|
価格帯 | 高め(中間マージン20-30%) | 中程度 | 安め(直接施工) |
施工品質 | 下請け次第でばらつき | 職人の腕次第 | 専門性が高い |
保証期間 | 10-15年(独自保証) | 5-10年 | 5-10年 |
対応速度 | 営業は早いが工事は遅め | 柔軟に対応 | 繁忙期は遅い |
アフターサービス | 充実(コールセンター完備) | 密着型 | 専門的対応 |
倒産リスク | 低い | 中程度 | やや高い |
【専門家の視点】 大手リフォーム会社は安心感がありますが、実際の工事は下請けの地元業者が行うケースが90%以上です。つまり、「大手に頼んでも地元業者に頼んでも、実際の施工者は同じ」ということがよくあります。中間マージンの分だけ割高になることを理解した上で選択しましょう。
それぞれの向き不向き:カバー工法と葺き替えの本質的な違い
カバー工法(重ね葺き)とは
既存の屋根材の上から新しい屋根材を被せる工法です。廃材処理費用が発生しないため、コストを抑えられるのが最大のメリットです。
カバー工法が向いている家・状況
- 築15-25年で、下地(野地板)の傷みが少ない
- スレート屋根(コロニアル、カラーベスト)の家
- 予算を抑えたい(葺き替えの60-70%程度の費用)
- 工期を短縮したい(通常5-7日で完了)
- アスベスト含有屋根材を使用している(処理費用が高額なため)
カバー工法が向いていない家・状況
- 築30年以上で下地の劣化が進んでいる
- すでに雨漏りしている
- 瓦屋根の家(重量の問題で不可)
- すでに一度カバー工法を行っている
- 建物の耐震性に不安がある(重量増加のため)
葺き替えとは
既存の屋根材を完全に撤去し、下地から新しくする工法です。建物の寿命を大幅に延ばす根本的な解決策となります。
葺き替えが向いている家・状況
- 築30年以上経過している
- 雨漏りの形跡がある
- 下地の腐食が確認されている
- 耐震性を向上させたい(軽量化が可能)
- 今後20年以上住み続ける予定
- 資産価値の向上を重視する
葺き替えが向いていない家・状況
- **築浅(10-15年)**で表面的な劣化のみ
- 予算が限られている(200万円以下)
- 短期間での工事完了が必須条件
- 仮住まいの確保が困難
- 近隣との距離が近く、騒音・粉塵対策が難しい
費用比較とランニングコスト:初期費用だけで判断すると失敗する理由
2025年最新の費用相場(30坪の場合)
項目 | カバー工法 | 葺き替え |
---|---|---|
基本工事費 | 120-180万円 | 180-280万円 |
足場代 | 15-25万円 | 15-25万円 |
下地補修費 | 0-10万円 | 20-40万円 |
廃材処理費 | 0円 | 15-30万円 |
アスベスト処理費 | 0円 | 30-50万円(該当する場合) |
諸経費 | 15-25万円 | 25-35万円 |
合計目安 | 150-240万円 | 250-400万円 |
見積書で必ずチェックすべき7つのポイント
【専門家の視点】 悪徳業者は「一式」という表記を多用し、詳細を曖昧にします。以下の項目が個別に記載されているか必ず確認してください。
- 屋根材の商品名とグレード(メーカー名、型番、保証年数)
- 施工面積の詳細(屋根面積、棟の長さ、軒先の長さ)
- 下地処理の内容(防水シート、野地板の仕様)
- 役物の単価(棟板金、雨樋、雪止めなど)
- 高所作業費の内訳(何階建てか、屋根勾配による割増)
- 工期と工程表(雨天順延の取り扱い)
- 保証内容の詳細(施工保証、メーカー保証、免責事項)
20年間のトータルコスト比較
初期費用だけでなく、ライフサイクルコストで考えることが重要です。
カバー工法の場合(20年間)
- 初期費用:180万円
- 10年目メンテナンス:30万円(棟板金交換、シーリング打ち替え)
- 15年目メンテナンス:50万円(部分補修)
- 20年目:葺き替え必須(300万円)
- 20年間合計:560万円
葺き替えの場合(20年間)
- 初期費用:280万円
- 10年目メンテナンス:20万円(点検、部分補修)
- 15年目メンテナンス:30万円(棟板金交換)
- 20年目:大規模修繕不要
- 20年間合計:330万円
【衝撃の事実】 20年スパンで見ると、葺き替えの方が230万円もお得になるケースがあります。「安物買いの銭失い」にならないよう、長期的視点を持ちましょう。
断熱・遮音・重量の違い:快適性と安全性を左右する3要素
断熱性能の比較
工法 | 断熱効果 | 夏場の室温上昇 | 冬場の保温性 | 光熱費削減効果 |
---|---|---|---|---|
カバー工法 | ◎(二重構造) | 2-3℃抑制 | 高い | 年間2-3万円 |
葺き替え | ○(断熱材次第) | 1-2℃抑制 | 中程度 | 年間1-2万円 |
【専門家の視点】 カバー工法は「空気層」ができるため、断熱性能が向上します。特に2階が暑くて困っている家庭には効果的です。ただし、断熱材付きの屋根材で葺き替えれば、同等以上の効果が得られます。
遮音性能の実測データ
実際の施工現場で測定した騒音レベルの変化です。
- 雨音(豪雨時)
- カバー工法前:65dB → 施工後:45dB(20dB減少)
- 葺き替え前:65dB → 施工後:50dB(15dB減少)
- 航空機の通過音
- カバー工法:10-15dB減少
- 葺き替え:5-10dB減少
重量増加による耐震性への影響
これはカバー工法最大のデメリットです。建築基準法に基づく詳細な検証が必要です。
屋根材別の重量比較(100㎡あたり)
屋根材 | 重量 | カバー工法後の総重量 |
---|---|---|
スレート | 2,000kg | 3,500kg(ガルバリウム鋼板使用時) |
ガルバリウム鋼板 | 500kg | 適用不可(すでに軽量) |
瓦 | 4,500kg | 適用不可(重量オーバー) |
【重要な警告】 1981年以前の旧耐震基準の建物では、カバー工法による重量増加で倒壊リスクが1.5倍になる可能性があります。必ず構造計算を行ってください。
施工事例と注意点:成功例と失敗例から学ぶ
成功事例1:築20年のスレート屋根(カバー工法)
施主情報:埼玉県さいたま市、木造2階建て、4人家族
選択理由:
- アスベスト含有屋根材で処理費用が高額
- 下地の状態が良好(事前調査で確認)
- 予算150万円以内の制約
結果:
- 工期:6日間で完了
- 費用:148万円(補助金30万円活用で実質118万円)
- 効果:夏場の2階室温が3℃低下、エアコン代が月5,000円削減
成功事例2:築35年の瓦屋根(葺き替え)
施主情報:千葉県船橋市、木造2階建て、高齢夫婦
選択理由:
- 耐震診断で屋根の軽量化を推奨された
- 雨漏りの形跡があった
- 今後15年以上住む予定
結果:
- 工期:12日間
- 費用:320万円(火災保険80万円適用で実質240万円)
- 効果:耐震性能が1.3倍向上、資産評価額が200万円上昇
失敗事例1:安さだけで選んだカバー工法の悲劇
施主情報:東京都練馬区、築28年
失敗の経緯:
- 訪問販売業者の「今なら半額」に飛びつく
- 下地調査なしで工事開始
- 施工後3ヶ月で雨漏り発生
- 業者は倒産して連絡取れず
- 結局、全面葺き替えで400万円の出費
【専門家の視点】 「モニター価格」「キャンペーン価格」という甘い言葉には要注意。適正価格から30%以上安い場合は、必ず裏があります。
失敗事例2:重量を考慮しなかった築40年住宅
施主情報:神奈川県横浜市、築40年
失敗の経緯:
- 構造計算せずにカバー工法を実施
- 地震で建物に亀裂発生
- 建築士の診断で「重量オーバー」が判明
- 耐震補強工事で追加200万円
工事中のトラブル回避チェックリスト
【必須確認事項】
- □ 建設業許可証の確認(必須)
- □ 工事賠償保険の加入確認
- □ 近隣挨拶の実施確認(業者が行うか)
- □ 工程表の提出(雨天時の対応含む)
- □ 養生範囲の確認(車、植木、エアコン室外機)
- □ 工事写真の提供有無
- □ 廃材処理のマニフェスト提出
- □ 完了検査の立ち会い日程
業者選定の極意:相見積もりで見るべき本当のポイント
優良業者を見抜く7つの質問
【専門家の視点】 以下の質問をして、答えられない業者は避けるべきです。
- 「下地の状態はどうやって確認しますか?」
- 優良業者:「屋根裏から目視確認します」「散水試験も可能です」
- 悪徳業者:「見なくても分かります」「大丈夫です」
- 「使用する防水シートのメーカーと品番は?」
- 優良業者:具体的な商品名と性能を説明
- 悪徳業者:「普通のやつです」「プロ用です」
- 「棟板金の下地は何を使いますか?」
- 優良業者:「樹脂製または人工木材」
- 悪徳業者:「木材(腐食リスク高)」
- 「工事保険には加入していますか?」
- 優良業者:保険証券のコピー提示
- 悪徳業者:「大丈夫です」で済ます
- 「過去の施工事例を見せてください」
- 優良業者:写真付きで詳細説明
- 悪徳業者:「個人情報なので…」と逃げる
- 「追加費用が発生する可能性は?」
- 優良業者:具体的なケースと金額を明示
- 悪徳業者:「ありません」と断言
- 「工事後のメンテナンス頻度は?」
- 優良業者:「5年後、10年後に点検を推奨」
- 悪徳業者:「メンテナンスフリーです」
相見積もり比較表の作り方
最低3社から見積もりを取り、以下の表で比較しましょう。
比較項目 | A社 | B社 | C社 | 評価ポイント |
---|---|---|---|---|
総額 | 安すぎず高すぎず | |||
屋根材グレード | メーカー保証年数 | |||
工期 | 短すぎると手抜きリスク | |||
下地処理の詳細度 | 曖昧な表現は危険 | |||
保証内容 | 免責事項の確認 | |||
支払い条件 | 完成後一括が安全 | |||
担当者の対応 | 質問への回答速度と正確性 |
補助金・火災保険活用術:知らないと200万円損する可能性
2025年度の主な補助金制度
1. 住宅省エネリフォーム補助金
- 対象:断熱性能向上を伴う屋根リフォーム
- 補助額:最大200万円(工事費の1/3)
- 条件:省エネ基準を満たす材料使用
- 申請期限:2025年12月末まで
2. 長期優良住宅化リフォーム補助金
- 対象:耐震性・耐久性向上工事
- 補助額:最大250万円
- 条件:インスペクション実施必須
- 注意点:事前申請が必要
3. 自治体独自の補助金例
東京都の例:
- クール・ネット東京:遮熱塗料使用で最大15万円
- 区市町村追加補助:最大30万円
【専門家の視点】 補助金は着工前申請が原則です。工事を始めてからでは受給できません。必ず事前に確認し、業者にも申請サポートを依頼しましょう。
火災保険の活用方法
保険適用される損害
- 風災:台風、竜巻、強風(最大瞬間風速20m/s以上)
- 雹災:雹による屋根材の破損
- 雪災:積雪による屋根の変形・破損
- 落雷:雷による屋根の損傷
保険申請の流れと注意点
- 被害の記録(写真撮影、日時記録)
- 保険会社への連絡(事故から3年以内)
- 修理見積もりの取得(複数社推奨)
- 鑑定人の調査立ち会い
- 保険金受領(申請から30日程度)
【重要な警告】 「保険で無料になります」という営業トークは詐欺の可能性大。保険金額は保険会社が決定するもので、事前に確定はできません。
保険申請でよくあるトラブル
- 経年劣化との判断で保険金が下りない
- 免責金額(自己負担分)を説明されていない
- 保険金の不正請求で契約解除になる
- 工事費が保険金を上回り追加負担発生
工事の流れと近隣対策:トラブルゼロで完工するために
着工前の準備(2週間前から)
2週間前
- 近隣挨拶(最低でも両隣、向かい3軒、裏3軒)
- 挨拶文例:「○月○日から○日間、屋根工事を行います。騒音・粉塵でご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解ください。緊急連絡先:○○」
- 粗品の準備(タオル、洗剤など500-1000円程度)
1週間前
- 駐車スペースの確保(工事車両2-3台分)
- 庭木の剪定(足場設置の障害物除去)
- 貴重品の移動(振動での落下防止)
- ペットの預け先確保(騒音ストレス回避)
カバー工法の工程(標準6日間)
1日目:足場設置・養生
- 作業時間:8:00-17:00
- 騒音レベル:大(金属音)
- 注意点:車の移動必須
2日目:既存屋根の清掃・下地調整
- 高圧洗浄で汚れ除去
- 不陸調整(凹凸を平らに)
- 防水シート設置
3-4日目:新規屋根材設置
- 軒先から棟に向かって施工
- 騒音:電動工具使用で断続的
5日目:棟板金・雨樋設置
- 仕上げ工事
- 細部のコーキング処理
6日目:清掃・足場解体
- 最終確認
- 工事写真の提出
- 保証書の受領
葺き替えの工程(標準10-12日間)
1-2日目:足場設置・既存屋根材撤去
- アスベスト含有の場合は飛散防止対策
- 廃材の適正処理(マニフェスト確認)
3-4日目:下地工事
- 野地板の補修・交換
- 防水シート施工
- この段階で雨が降ると致命的(ブルーシート養生必須)
5-8日目:新規屋根材設置
- 下地が完全に乾燥してから施工
- 断熱材を併用する場合は工期+1日
9-10日目:仕上げ工事
- 棟板金、破風板、雨樋の設置
- 外壁との取り合い部分のシーリング
11-12日目:清掃・検査・足場解体
- 施主立ち会いでの最終確認
- 瑕疵保険の手続き
工事中の生活の注意点
【専門家の視点】 工事中のストレスを最小限にする工夫が重要です。
- 洗濯物:室内干しor コインランドリー利用
- 窓の開閉:粉塵侵入防止のため原則閉める
- エアコン使用:室外機養生中は使用不可の場合あり
- 在宅の必要性:初日と最終日は立ち会い推奨
- 職人への対応:お茶出し不要が最近の主流
- トイレ:簡易トイレ設置or 使用許可の確認
最新の屋根材トレンドと技術革新
2025年注目の屋根材
1. 高耐久ガルバリウム鋼板「エスジーエル」
- 特徴:従来品の3倍の耐食性
- メーカー保証:穴あき25年保証
- 価格:8,000-10,000円/㎡
- 適用:カバー工法・葺き替え両方可
2. 石粒付きガルバリウム「ディーズルーフィング」
- 特徴:30年色褪せ保証
- メリット:雨音が気にならない
- デメリット:石粒の剥離リスク
- 価格:9,000-12,000円/㎡
3. 太陽光発電一体型屋根材
- 初期費用:300-400万円(30坪)
- 発電量:年間5,000-6,000kWh
- 投資回収:12-15年
- 注意点:パワコン交換費用(10年後に30万円)
最新の施工技術
通気工法の重要性
結露による下地腐食を防ぐために、屋根材と下地の間に通気層を設ける工法が標準化されています。
- 通気層の厚さ:30mm以上推奨
- 換気棟の設置:必須
- 追加費用:10-15万円
- 効果:下地の寿命が1.5倍に延長
ドローンを使った事前調査
- 費用:3-5万円
- メリット:足場なしで詳細確認可能
- 画像解析:AIで劣化箇所を自動検出
- 調査時間:30分程度
よくある質問(Q&A):あなたの疑問に全てお答えします
Q1. 梅雨時期や台風シーズンの工事は避けるべき?
A. 必ずしも避ける必要はありません。優良業者は天候を見据えた工程管理を行います。むしろ繁忙期を避けることで、10-20%の値引きが期待できます。ただし、以下の対策は必須です。
- ブルーシート養生の徹底
- 天気予報の時間単位確認
- 工期の余裕を持った設定(通常の1.5倍)
- 雨漏り応急処置の準備
Q2. DIYで屋根リフォームは可能?
A. **絶対にお勧めしません。**以下の理由から、プロに依頼すべきです。
- 転落事故リスク:年間200件以上の死亡事故
- 防水処理の失敗:雨漏りで構造材腐食
- 保証の無効化:メーカー保証が受けられない
- 建築基準法違反:10㎡以上は確認申請必要
- 近隣トラブル:材料落下での損害賠償リスク
Q3. 訪問販売業者は全て悪徳?
A. 全てが悪徳ではありませんが、国民生活センターへの相談の60%が訪問販売関連です。以下のセリフを言う業者は要注意です。
- 「今すぐ工事しないと倒壊する」
- 「この地域限定のモニター価格」
- 「今日契約すれば半額」
- 「近所で工事するついでに」
- 「無料で点検します」→屋根を故意に破損
対策:その場で契約せず、必ず相見積もりを取る。クーリングオフ(8日間)の活用。
Q4. アスベスト含有屋根材の見分け方は?
A. 2004年以前のスレート屋根は要注意です。
確認方法:
- 建築時の図面で製品名確認
- 国土交通省のデータベースで検索
- 専門業者による成分分析(3-5万円)
アスベスト含有の場合:
- カバー工法推奨(飛散リスク回避)
- 葺き替え時は専門業者必須(処理費用30-50万円追加)
- 届出義務あり(労働基準監督署)
Q5. 太陽光パネルがある場合の屋根リフォームは?
A. パネルの脱着が必要で、以下の追加費用が発生します。
- パネル脱着費用:30-50万円
- パネル保管費用:5-10万円
- 再設置後の点検:5万円
- 発電停止期間:2-3週間
【専門家の視点】 パネルの寿命(20-25年)と屋根の寿命を合わせることが理想。10年以上経過したパネルは、効率低下しているため、同時交換も検討しましょう。
Q6. 雨樋も一緒に交換すべき?
A. 足場を組む機会に同時施工することで、足場代15-25万円を節約できます。
雨樋交換の目安:
- 15年以上経過
- 継ぎ目からの漏水
- 勾配不良での溢れ
- 変形・破損箇所あり
費用目安:
- 塩ビ製:3,000円/m
- ガルバリウム製:5,000円/m
- 銅製:8,000円/m
Q7. 屋根の色で室温は変わる?
A. 大きく変わります。遮熱効果のデータをご覧ください。
屋根の色 | 表面温度(夏場) | 室温への影響 | 電気代への影響 |
---|---|---|---|
白・シルバー | 50℃ | 基準 | 基準 |
グレー | 60℃ | +1-2℃ | +10% |
茶色 | 65℃ | +2-3℃ | +15% |
黒 | 70℃ | +3-4℃ | +20% |
遮熱塗料の追加で5-10℃の表面温度低下が可能(追加費用20-30万円)。
Q8. 工事後のメンテナンスは?
A. 定期的なメンテナンスで屋根の寿命は1.5倍に延びます。
推奨メンテナンススケジュール:
時期 | 点検内容 | 費用目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
1年後 | 初期不良確認 | 無料(保証範囲) | ★★★ |
5年後 | 棟板金・シーリング点検 | 3-5万円 | ★★☆ |
10年後 | 全体点検・部分補修 | 10-20万円 | ★★★ |
15年後 | 防水シート・下地確認 | 20-30万円 | ★★★ |
20年後 | 大規模修繕の検討 | 見積もり取得 | ★★★ |
Q9. 地震保険は使える?
A. 地震による屋根の損傷は地震保険の対象ですが、査定基準が厳しいのが実情です。
保険金が出るケース:
- 棟瓦の崩落
- 屋根の著しい変形
- 構造材の損傷
保険金が出ないケース:
- 軽微なずれ
- 経年劣化との判断
- 地震から180日以上経過
Q10. リフォームローンの選び方は?
A. 金利と総返済額をしっかり比較しましょう。
ローン種類 | 金利 | 借入限度額 | 返済期間 | 審査期間 |
---|---|---|---|---|
リフォームローン | 2-4% | 500万円 | 10年 | 1週間 |
住宅ローン借り換え | 0.5-1.5% | 残債+リフォーム費用 | 35年 | 1ヶ月 |
フラット35リノベ | 1-2% | 8,000万円 | 35年 | 1ヶ月 |
自治体提携ローン | 1-2% | 300万円 | 10年 | 2週間 |
【専門家の視点】 金利が2%違うと、200万円借入で総返済額が40万円も変わります。必ず複数の金融機関で比較しましょう。
まとめ:あなたの家に最適な選択とは
判断フローチャート
ステップ1:築年数の確認
- 築15年未満 → 塗装で十分な可能性
- 築15-25年 → カバー工法を検討
- 築25年以上 → 葺き替えを推奨
ステップ2:下地状態の確認
- 雨漏り跡なし、下地良好 → カバー工法可能
- 雨漏り跡あり、下地に不安 → 葺き替え必須
ステップ3:予算の確認
- 150万円以下 → カバー工法または部分補修
- 150-250万円 → カバー工法(高グレード材)
- 250万円以上 → 葺き替え可能
ステップ4:居住予定期間
- 10年未満 → カバー工法でコスト重視
- 10-20年 → 状態により選択
- 20年以上 → 葺き替えで根本解決
タイプ別最終提案
【コスト重視タイプ】への提案
カバー工法を選択し、以下の条件で進めましょう。
- ガルバリウム鋼板(標準グレード)使用
- 地元の専門業者に直接依頼
- 補助金・火災保険を最大活用
- 相見積もり5社以上で価格交渉
- 閑散期(12-2月)の施工で割引狙い
予想費用:120-150万円(実質負担80-100万円)
【品質重視タイプ】への提案
葺き替えで以下の仕様を推奨します。
- エスジーエル(高耐久ガルバリウム)使用
- 通気工法採用
- 断熱材併用
- 大手リフォーム会社の長期保証付き
- ドローン調査で現状を詳細把握
予想費用:300-350万円(各種補助金で実質250万円前後)
【バランス重視タイプ】への提案
状況に応じて以下を選択しましょう。
築20年前後でメンテナンス良好な場合:
- カバー工法(高グレード材使用)
- 10年後の部分補修計画込み
- 費用:180-220万円
築25年以上or下地に不安がある場合:
- 葺き替え(標準グレード)
- 必要最小限の付帯工事
- 費用:250-280万円
今すぐ行動すべき3つのこと
- 無料診断の申し込み(3社以上)
- 目視調査だけでなく、屋根裏確認も依頼
- 診断報告書を書面でもらう
- 強引な営業は断固拒否
- 補助金・保険の確認
- 自治体HPで補助金情報収集
- 火災保険の契約内容確認
- 必要書類の準備開始
- 相見積もりの依頼
- 同じ条件で比較できるよう仕様統一
- 見積もり有効期限の確認(通常3ヶ月)
- 不明点は遠慮なく質問
最後に:あなたの大切な住まいを守るために
屋根は家の要です。適切なタイミングで適切な工法を選択することで、あなたの大切な住まいは今後20年、30年と家族を守り続けてくれます。
カバー工法か葺き替えか—この選択に正解はありません。あなたの家の状態、予算、ライフプランに最適な選択があるだけです。
この記事の情報を武器に、自信を持って業者と対等に話し合い、納得のいく工事を実現してください。もし迷ったら、「安物買いの銭失い」にならないよう、長期的視点を忘れずに。
あなたの屋根リフォームが成功し、快適で安心な暮らしが実現することを心から願っています。
【重要】最終チェックリスト
契約前に必ず確認:
- □ 見積もりは3社以上取得したか
- □ 建設業許可証を確認したか
- □ 工事保険加入を確認したか
- □ 追加費用の可能性を確認したか
- □ 工程表をもらったか
- □ 保証内容を書面で確認したか
- □ 支払い条件は適切か(前金は30%以下)
- □ クーリングオフの説明を受けたか
- □ 近隣挨拶の段取りは決まったか
- □ 工事完了後の点検日程は決まったか
これらすべてにチェックが入れば、安心して工事を任せられます。素晴らしい屋根リフォームになることを確信しています。