外壁塗装は梅雨中でもできる?知っておきたい施工条件と成功のポイント

外壁塗装をお考えの方なら、一度は「梅雨時期でも工事はできるのだろうか?」という疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。確かに雨が多い季節ですから、塗料が流れてしまったり、きちんと乾燥しなかったりするのではないかと心配になりますよね。

でも実は、梅雨時期でも条件を満たせば外壁塗装は可能なのです。むしろ、この時期だからこその意外なメリットもあります。

編集部では10年以上にわたって外壁塗装の現場を取材し、多くの職人さんや業者さんからお話を伺ってきました。その中で感じるのは、「時期よりも業者選びの方がはるかに重要」ということです。悪徳業者に引っかからないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。

結論:梅雨でも外壁塗装はできます

まず結論からお伝えすると、梅雨時期であっても外壁塗装は十分可能です。塗料メーカーが定める条件さえ満たしていれば、雨が多い季節でも問題なく施工できます。

塗装可能な基本条件

多くの塗料メーカーが規定として「湿度85%以上、気温5℃以下」の場合は塗装不可としています。つまり、以下の条件を満たしていれば塗装が可能です:

項目条件
気温5℃以上
湿度85%未満
天候雨が降っていない

日本建築学会が発行している「建築工事標準仕様書・同解説 JASS18塗装工事」でも、「塗装場所の気温が5℃未満、相対湿度が85%以上もしくは換気が適切でなく結露する等によって塗料の乾燥に不適切な場合は、原則として塗装作業に着手しない」と明記されています。

なぜ梅雨でも塗装できるのか

梅雨といっても、1日中雨が降り続けるわけではありません。雨の合間には晴れ間もあり、湿度も85%を下回ることは珍しくありません。重要なのは、その瞬間の気象条件が塗装に適しているかどうかです。

また、外壁塗装には多くの工程があり、必ずしもすべてが「塗装」作業というわけではありません。

梅雨時期に外壁塗装をするメリット

意外に思われるかもしれませんが、梅雨時期の外壁塗装には多くのメリットがあります。

1. 費用が安くなりやすい

梅雨時期は外壁塗装の閑散期にあたるため、業者によっては割引やキャンペーンを実施していることがあります。春や秋の繁忙期と比べて、10~20%程度費用を抑えられるケースも珍しくありません。

編集部の体験談 昨年、編集部スタッフの自宅で外壁塗装を行った際、梅雨時期を選んだことで通常価格より15%の割引を受けることができました。総額120万円の工事が102万円になり、18万円も節約できたのです。

2. 予約が取りやすい

梅雨は春や秋などの繁忙期に比べて、塗装業者の予約が取りやすいメリットもあります。腕の良い職人が空いていることも多く、比較的希望のスケジュール通りに工事をしてもらえます。

良い業者ほど予約が取りにくいものですが、梅雨時期なら優良業者にも依頼しやすくなります。

3. 職人にとって作業しやすい環境

梅雨は気温がちょうど良く、1年の中でも最も日が長い時期です。職人の腕が発揮されやすい季節と言え、良い工事を求める方にもおすすめです。

真夏の炎天下や真冬の厳寒期と比べて、梅雨時期は職人さんにとって体力的な負担が少なく、集中して作業に取り組めるのです。

4. 雨漏りの早期発見

雨が多い梅雨は、日頃気づかなかったような雨漏りが見つかることが少なくありません。雨漏り対策をしながら塗装工事ができるのは、梅雨の時期ならではのメリットです。

梅雨時期の外壁塗装で注意すべきポイント

メリットがある一方で、梅雨時期の外壁塗装には注意点もあります。

1. 工期が延びる可能性

最も大きな注意点は、工期が延びる可能性があることです。

梅雨は雨が何日も続いて、工事が中断するケースが少なくありません。本来なら1~2週間で終わる工事が、3~4週間と長引く可能性もあります。

2. 窓を開けられない期間の延長

工事期間中は養生のため窓を開けることができません。工期が延びれば、その分窓を閉め切る期間も長くなります。

工事を中断している間も足場や養生シートはそのまま残るため、工程によっては窓が開けられず、室内の換気ができない恐れがあります。

3. 塗料の臭いが抜けにくい

湿度が高い時期は、塗料の臭いが室内にこもりやすく、抜けにくい傾向があります。換気ができない状況も相まって、敏感な方には負担になる場合があります。

雨の日にできる工程・できない工程

外壁塗装は複数の工程に分かれており、雨の日でもできる作業とできない作業があります。

雨の日でもできる工程

足場の組み立て、塗装しない部分をナイロンでかぶせる養生作業、塗装前の壁を洗い流す高圧洗浄、塗装後の養生を剥がす作業、その他掃除などの片付けなど、実際の「塗装」以外の工程は雨の日でも行えます。

工程雨の日の実施
足場の組み立て・解体
高圧洗浄
養生作業
下地処理(軽微なもの)
塗装作業×
養生撤去・清掃

雨の日にできない工程

塗料を塗る工程は雨の日には行えません。雨の日に外壁の塗装工程をした場合、塗料が雨で流れてしまう、塗膜剥離やひび割れなどの劣化が起こる可能性がある、塗料に雨が落ちてまだらな仕上がりになる、光沢が低下するというような問題が出てくる可能性があります。

梅雨時期の外壁塗装を成功させる3つのポイント

1. 信頼できる業者を選ぶ

何より重要なのは、気象条件を正しく判断できる信頼できる業者を選ぶことです。

国家資格である一級塗装技能士、都道府県から認定される二級塗装技能士であれば、塗料の特性を充分に理解している職人であると言えます。天候によって塗装の可否を計算できるので、安心して施工を任せられます。

業者選びのチェックポイント

  • 有資格者(一級・二級塗装技能士)が在籍している
  • 雨の日は無理に作業を進めようとしない
  • 天候による工期変更について事前に説明がある
  • 延長料金が発生しないことが契約書に明記されている

2. 工期に余裕を持つ

梅雨時期の外壁塗装では、工期に十分な余裕を持つことが大切です。

編集部からのアドバイス 通常2週間の工事なら、3~4週間を見込んでおくと安心です。特に以下のような方は、スケジュールに余裕のある時期を選びましょう:

  • 家族に小さなお子様やご高齢の方がいる
  • 在宅ワークで自宅にいる時間が長い
  • ペットを飼っている

3. 溶剤系塗料を検討する

溶剤塗料の溶剤成分が蒸発しやすく、環境の影響を受けにくいことによって、一定の時間で乾燥するため、水性塗料を使用した場合には、主成分が水のために乾燥に時間がかかりやすく、湿度の高い時期には工期が長くなる傾向があります。

湿度の影響を受けにくい溶剤系塗料を選ぶことで、梅雨時期でも工期の延長を最小限に抑えられます。

梅雨時期に起こりやすい塗装の不具合

湿度が高い時期特有の不具合についても知っておきましょう。

艶引け(つやひけ)

湿度の高い時期に塗装を行なった場合には、起こりやすい不具合がいくつかあります。湿度が高い時期に塗装すると起こりやすい症状は、塗膜表面の艶引けです。

艶引けとは、本来出るはずの光沢が失われ、塗膜表面が白くくすんで見える現象です。見た目が悪くなるだけでなく、塗膜の耐久性にも影響します。

白濁化

湿度が高い状況で塗装をした際に発生するのが、表面が白くにごる現象です。白くにごる現象は周囲の湿度が高すぎる場合に起こります。見栄えが悪く、耐久性も低下するため避けたほうがよい欠陥症状です。

乾燥不良

湿度が高いと塗料の乾燥時間が長くなり、完全に硬化する前にホコリや花粉が付着してしまうリスクが高まります。

外壁塗装に最適な時期とは

春(3~5月)

一般的に外壁塗装に適した時期は春(3月から5月頃)と秋(9月から11月頃)とされています。いずれの時期も比較的降水量が少ないほか、湿度も安定していることが理由として挙げられるでしょう。

しかし、繁忙期のため予約が取りにくく、費用も高めになる傾向があります。

秋(9~11月)

春と同様に外壁塗装に適した季節ですが、台風の影響を受ける可能性があります。

夏(6~8月)

梅雨明け後の夏は塗料の乾燥には適していますが、職人の体調管理や、窓を閉め切ることによる室内環境の問題があります。

冬(12~2月)

毎年雪が積もるような寒い地域では、冬に外壁塗装をしてはいけません。気温5℃以下では塗装ができないためです。

業者選びで失敗しないためのポイント

外壁塗装業界は残念ながら悪徳業者が多いのが現実です。特に梅雨時期は、「雨の日でも塗装を強行する」「不適切な条件で施工する」といった悪質な業者に注意が必要です。

優良業者の見極め方

必須条件

  • 一級塗装技能士などの有資格者が在籍
  • 雨の日は作業を中止する方針を明確に説明
  • 工期延長による追加料金が発生しないことを契約書に明記
  • 施工前に天候の影響について詳しく説明

危険な業者の特徴

  • 雨の日でも塗装を強行しようとする
  • 「梅雨でも関係ない」と根拠なく断言する
  • 工期の延長について説明がない
  • 極端に安い見積もりを提示する

複数業者からの見積もり取得

編集部の実体験 以前、編集部で外壁塗装業者を5社比較したところ、最高価格と最低価格で約60万円の差がありました。しかし、最低価格の業者は塗料のグレードが低く、保証期間も短いものでした。価格だけでなく、施工内容や保証についても総合的に判断することが重要です。

梅雨時期の外壁塗装でよくある質問

Q: 梅雨時期の塗装は品質が落ちませんか?

A: 適切な条件で施工すれば、品質に問題はありません。重要なのは、気象条件を正しく判断できる業者を選ぶことです。むしろ、職人にとって作業しやすい環境のため、丁寧な仕上がりが期待できます。

Q: 雨が降ったら塗り直しになりますか?

A: 環境によって差がありますが、塗装後24時間以降に雨が降った場合は、塗料の不具合の可能性はかなり低くなります。塗装直後でなければ、雨による影響は限定的です。

Q: 梅雨時期の工事で気をつけることはありますか?

A: 工期が延びることを前提とした計画を立て、室内の換気ができない期間が長くなることも考慮しておきましょう。また、塗料の臭いに敏感な方は、宿泊先の確保も検討してください。

国土交通省による住宅リフォーム支援制度

外壁塗装に関連して、国土交通省では住宅の長寿命化を目的とした支援制度を設けています。詳細は国土交通省の住宅リフォーム支援策についてをご確認ください。

まとめ:梅雨でも安心して外壁塗装を

梅雨時期の外壁塗装は、適切な業者を選び、正しい条件で施工すれば全く問題ありません。むしろ、費用面や業者選びの面でメリットが多い時期といえるでしょう。

重要なポイント

  • 梅雨でも条件を満たせば外壁塗装は可能
  • 費用を抑えられ、優良業者に依頼しやすい
  • 工期の延長を見込んだ計画が必要
  • 業者選びが何より重要

外壁塗装をお考えの方は、時期にこだわりすぎず、まずは信頼できる業者探しから始めることをおすすめします。複数の業者から見積もりを取り、施工内容や保証について詳しく説明してくれる業者を選びましょう。

大切なお住まいを長く美しく保つために、正しい知識を持って外壁塗装に取り組んでください。

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